【2025年最新】コレスポンデンス分析とは?ブランド分析に活かせる視覚的手法

アンケートや市場調査の結果を、単なる表ではなく「見て理解できる形」に変える分析手法として注目されているのがコレスポンデンス分析です。特にブランドのポジショニングや商品イメージの把握において、高い効果を発揮します。本記事では、コレスポンデンス分析の基本的な考え方から、実務に役立つ手順、クロス集計分析との違いまで詳しく解説します。
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目次
コレスポンデンス分析の定義と基本概念
コレスポンデンス分析(Correspondence Analysis)は、クロス集計表のデータを基に項目間の関係性を視覚化する多変量解析の一種です。2次元または3次元のマップ上にデータを配置し、項目同士の距離によって関連の強さを表現します。
たとえば、ブランドAとイメージワード「信頼感」が近くに表示されれば、それだけ関連性が強いと判断されます。2次元マップという視覚的アウトプットにより、複雑なデータ構造も直感的に理解できる点が大きな特徴です。
コレスポンデンス分析が使われる場面

コレスポンデンス分析は、カテゴリー変数同士の関係を視覚的に捉えることができるため、マーケティングリサーチや商品開発、サービス改善など、さまざまな分野で活用されています。以下では、代表的なユースケースを具体的に紹介します。
ブランドイメージのマッピング
コレスポンデンス分析は、複数ブランドに対する消費者の印象を可視化する際に用いられます。たとえば、アンケートで「このブランドにどんなイメージを持っていますか?」という質問に対し、「おしゃれ」「高級」「親しみやすい」などの選択肢を設けたとします。各ブランドに対して集まった回答をクロス集計し、コレスポンデンス分析を行うことで、2次元マップ上にブランドとイメージキーワードを配置できます。
この結果から、「おしゃれ」と「高級」は同じエリアに配置され、その近くにAブランドが位置していれば、消費者はAブランドにそうした印象を抱いていると読み取れます。競合ブランドと自社のポジションの違いも明確になるため、ブランディング戦略や広告訴求の方向性を見直す際に非常に有用です。
商品開発時のニーズ分析
新商品の企画段階では、ターゲット層のニーズを正確に把握する必要があります。コレスポンデンス分析は、年代・性別・居住地といった消費者属性と、製品に対する評価項目(例えば「使いやすさ」「価格の手ごろさ」「デザイン性」など)の関係を明らかにする際に役立ちます。
たとえば、20代女性が「デザイン性」と「トレンド感」を重視している一方で、50代男性は「操作性」や「耐久性」を重視しているといった結果がマップ上に表れれば、それぞれの層に適した製品仕様やプロモーションの方向性を導き出すことができます。つまり、セグメント別のニーズを一目で把握できるという点で、商品開発との相性が非常に良い分析手法です。
サービス評価の比較と改善
コレスポンデンス分析は、サービス業における顧客満足度調査の結果を分析する場面でも活用されています。たとえば、複数の病院、大学、観光施設などに対して、利用者が「満足」「普通」「不満」などと評価した各項目(接客、設備、価格など)との関係を明らかにすることができます。
この分析により、ある施設が「スタッフの対応」で高評価を得ている一方、別の施設は「料金の安さ」で評価されているといった差異を可視化できます。結果として、各施設がどの点で競争優位に立っているかを把握でき、改善が必要な要素も明確になります。特に、サービスが多様化・個別化している現代では、顧客セグメントごとの評価傾向を視覚的に捉えることが、差別化戦略やサービス設計に直結します。
コレスポンデンス分析の手順

コレスポンデンス分析は、複雑なクロス集計表の情報を2次元のマップに変換し、カテゴリ同士の関係を視覚的に把握するための分析手法です。ここでは、マーケティングの現場でもよく用いられる基本的な実施手順をわかりやすく解説します。
Step 1:分析の目的を明確にする
最初に行うべきは、「この分析で何を明らかにしたいのか」という目的の設定です。目的があいまいだと、分析結果をどう解釈すべきかが不明瞭になります。例えば、
- 自社ブランドのイメージが競合とどう違うかを見たい
- 年代や性別ごとにブランドの印象がどう異なるかを知りたい
といったように、明確な問いを立ててから次に進みます。
Step 2:データを収集してクロス集計を作る
次に必要なのは、分析に使うデータを整えることです。多くの場合、アンケート調査が用いられます。たとえば「各ブランドにどんな印象を持っているか」という設問に対する回答を使い、「ブランド × イメージワード」や「属性 × 評価項目」などの形でクロス集計表を作成します。
クロス集計表の行と列には、比較したいカテゴリ(例:ブランド名、年齢層、評価項目など)を配置し、各マスには該当する回答数(出現頻度)を入力します。
Step 3:分析ツールでコレスポンデンス分析を実行する
準備したクロス集計表をもとに、分析ツールを使ってコレスポンデンス分析を行います。代表的なツールには以下があります。
- R(
ca
パッケージなど) - SPSS
- Excelの分析アドイン(専用テンプレートが必要な場合あり)
ツールを使うと、カテゴリー同士の「近さ」や「位置関係」を計算し、次元を縮小したうえで2次元マップ(散布図)を生成できます。このマップは、視覚的なインサイトを得るうえで非常に有効です。
Step 4:2次元マップの結果を読み解く
生成された2次元マップでは、ブランドや属性が点として配置され、互いの距離が「関連の強さ」を表します。たとえば、あるブランドと「高級感」というイメージが近くに配置されていれば、それだけそのブランドに対して「高級な印象を持つ人が多い」と解釈できます。
また、X軸とY軸には意味がある場合もあります。たとえば「親しみやすさ〜高級感」「実用性〜デザイン性」など、概念的な軸が見えてくることもあります。
Step 5:施策に落とし込む
最後に、分析から得られた知見を具体的なマーケティング施策に活かします。
- 競合よりも「親しみやすい」と評価されているなら、それを強調した広告を展開する
- 10代女性にだけ「かわいい」と思われているなら、その層に絞ったSNS施策を打つ
- 特定の属性に弱い印象しかないなら、ターゲティング戦略を見直す
といったように、ブランド戦略、商品企画、コミュニケーション施策に直接つなげることができます。分析結果は「理解して終わり」ではなく、「行動に変える」ことが目的です。
コレスポンデンス分析のメリット

視覚的に理解しやすい
コレスポンデンス分析は、複雑なクロス集計表の情報を2次元マップに変換できるため、専門的な統計知識がなくても結果を直感的に把握しやすいのが特徴です。たとえば、ブランドとそのイメージワードの関係を2次元マップ上で視覚的に示せることで、「このブランドは高級感があると感じられている」といったことが一目で理解できます。
特に、経営層や意思決定者、データに詳しくない部署に向けてプレゼンテーションを行う際には、テーブルや数式よりもはるかに伝わりやすく、合意形成のスピードアップにもつながります。
多変量の関係を一度に可視化できる
クロス集計表では、行(ブランドや属性など)と列(イメージや評価など)の組み合わせが増えるほど、関係性の把握が難しくなります。コレスポンデンス分析を使えば、こうした多変量データを一括で処理し、ブランド、顧客属性、評価項目などの関係性をマップ上で同時に確認できます。
これにより、「若年層に好まれているブランド」「価格重視のユーザーが支持するサービス」といった関係が浮き彫りになり、セグメント別の戦略立案に大きく貢献します。
セグメンテーションやポジショニングに役立つ
顧客属性ごとの評価傾向や、ブランド間の類似性・差異を視覚的に捉えられるため、ターゲットセグメンテーションや市場ポジショニング分析に非常に有効です。たとえば、「自社ブランドが高級路線に偏っている」「中高年層へのアプローチが弱い」といったマーケティング上の課題が見えてくることで、商品戦略や広告施策の修正点が明確になります。
コレスポンデンス分析の注意点

結果の解釈には慎重さが求められる
生成された2次元マップで、点と点が近いからといって、必ずしも明確な因果関係や強い関連があるとは限りません。単にデータ上の「距離」が近いだけであり、その背後にある文脈や意味は、元データをよく確認しながら慎重に読み解く必要があります。
また、X軸・Y軸の意味合いも自動的にラベリングされるものではなく、分析者が論理的に解釈しなければなりません。「上にあるブランドは高級」「右にある属性は若年層向け」といった判断をする際には、分析背景や業界知識との照合が欠かせません。
データの偏りが結果を歪めることがある
コレスポンデンス分析では、入力するクロス集計データの正確性が分析結果の信頼性を大きく左右します。たとえば、調査対象が一部の年代や地域に偏っていた場合、マッピングされた結果も現実とは異なるバイアスがかかってしまう可能性があります。
そのため、アンケート調査やデータ収集の段階で、十分なサンプルサイズを確保し、年代・性別・地域などの属性が網羅的にカバーされていることが重要です。データの質が担保されていないと、2次元マップだけを見て判断することは非常に危険です。
項目数が多すぎると2次元マップが読みづらくなる
分析対象とするブランドや項目が多すぎると、マップ上に多数の点が密集してしまい、視覚的に読み取りづらくなることがあります。その場合は、目的に応じて項目を絞ったり、グルーピング(カテゴリー統合)を行ったりする工夫が必要です。
コレスポンデンス分析とクロス集計分析の違い
項目 | コレスポンデンス分析 | クロス集計分析 |
---|---|---|
目的 | カテゴリ間の関係性を視覚的に把握する | カテゴリ間の頻度や割合を確認する |
出力形式 | 2次元のマップ(プロット図) | 表(クロス表、分割表) |
可視化 | カテゴリを座標上に配置し、関係性を直感的に把握 | 基本的に数値表での表示 |
使用シーン | 多変量の関係性の把握、ポジショニング分析 | 単純な傾向の把握や比較 |
前提条件 | 行・列のカテゴリが多く、関係性を総合的に見る必要がある場合 | 比較的シンプルな構造のデータ |
代表的な用途 | ブランド×イメージ評価などのポジショニング分析 | 性別×購入有無、年代×商品認知などの単純な分析 |
コレスポンデンス分析におけるよくある質問(Q&A)
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コレスポンデンス分析で何がわかる?
コレスポンデンス分析では、カテゴリ同士の関係性を2次元マップで視覚的に把握できます。たとえば、「性別」と「好みのブランド」、「年代」と「商品評価」など、クロス集計では数値だけだった関係を、図として直感的に示すことが可能です。
コレスポンデンス分析と主成分分析の違いは何ですか?
主成分分析とコレスポンデンス分析は、いずれも「多変量の構造を簡潔にまとめる」分析手法ですが、対象とするデータが異なります。
比較項目 | コレスポンデンス分析 | 主成分分析 |
---|---|---|
主な用途 | 質的データの視覚化(カテゴリ同士の関係性) | 量的データの要約(変数間の構造理解) |
対象データ | クロス集計表(カテゴリデータ) | 数量データ(連続値) |
出力結果 | 行・列カテゴリの2次元マップ | 主成分軸に沿った2次元マップ |
主成分分析は「データを軸で要約する」手法であり、コレスポンデンス分析は「カテゴリ同士の相対的な距離を示す」手法です。前者はアンケートの点数や数値データの分析に、後者はブランドイメージや属性比較に適しています。
コレスポンデンス分析とクラスター分析の違いは何ですか?
コレスポンデンス分析は、カテゴリ同士の「関係性」を可視化するものです。一方、クラスター分析は、似ているデータ同士をグループに分ける「分類」手法です。
比較項目 | コレスポンデンス分析 | クラスター分析 |
---|---|---|
目的 | カテゴリ間の関係性の可視化 | 類似対象をグルーピング |
出力 | 2次元マップによる関係性の図示 | グループ分け、階層図など |
用途例 | ブランドイメージのポジショニング分析 | 顧客セグメントの抽出 |
たとえば、コレスポンデンス分析では「商品評価と年齢層の関係」をマップで確認し、クラスター分析では「購入傾向が似ている顧客群を分類」できます。目的が異なるため、併用することでより深い分析が可能です。
まとめ
コレスポンデンス分析は、ブランドポジショニングや商品イメージの明確化に非常に有効な手法です。クロス集計では捉えにくい関係性を視覚的に把握できるため、マーケティングの現場でも高く評価されています。アンケートデータなどを戦略的に活用したいと考えるマーケターにとって、実践的かつ有効な分析技術のひとつです。
分析結果が山ほどあるのに、成果につながらない…その原因とは?
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