【2025年最新】「ヤズーJAPAN」とは？ズートピア2の世界に没入しよう

「ズートピア2」の公開に合わせて登場した特設サイト「ヤズーJAPAN」は、単なる映画紹介ページではなく、作品世界のサイトというコンセプトを持った非常にユニークな施策です。この記事では、サイトの構造や世界観の作り込み、SNS拡散設計、そしてマーケティング戦略として自社に応用できるポイントまで解説します。映画ファンだけでなく、IPビジネスやエンタメ系プロモーションに関わる方にとってのヒントもまとめます。

「ヤズーJAPAN」とは？「ズートピア2」の世界にあるポータルサイト

ヤズーJAPANは、「もしズートピアにYahoo! JAPANがあったら？」という発想から生まれた、ズートピア世界の住民向けポータルサイトです。ニュースや天気予報、占い、知恵袋、ミュージックなど、私たちが日常的に使うポータルサイトの機能を、丸ごとズートピアの世界観に置き換えている点が大きな特徴です。

サイトのコンセプトは「もしズートピアにYahoo! JAPANがあったら？」

コンセプトの肝は、「現実世界の画面を、そっくりそのままズートピア化すること」です。レイアウトやナビゲーションは、国内の大手ポータルサイトと非常に似た構造を採用していますが、表示されるニュースやバナー広告、カテゴリ名がすべて動物たちの世界向けにアレンジされています。そのため、初めて訪れたユーザーでも迷わずに操作できつつ、「あ、ここもズートピア仕様になっている」と細部の遊び心に気づいて楽しめる設計です。また、このコンセプトによって、映画をまだ観ていない人にも、世界観の雰囲気やユーモアを事前に伝えられる点も重要です。

日本独自キャンペーン「日本ズートピア化計画」との関係性

ヤズーJAPANは、日本独自展開の大型キャンペーン「日本ズートピア化計画」の一環として企画されています。このキャンペーンは、日本中のさまざまな場所やサービスをズートピア風に変えてしまおう、という発想のもとに組み立てられたものです。その中でヤズーJAPANは、オンライン上でズートピア化されたポータル体験を提供する役割を担っています。現実世界の大手サイトをオマージュしながらも、あくまでフィクションとしての世界観を守ることで、現実と物語をほどよく行き来できるキャンペーンサイトとして機能しています。

公開時期・期間と映画公開スケジュール

サイトは『ズートピア2』の公開プロモーション期間に合わせてオープンし、映画への期待感が高まるタイミングでユーザーとの接点を増やす狙いがあります。映画公開前は「予習」のような役割を果たし、キャラクターや街の雰囲気に親しんでもらう導線になります。公開後は、鑑賞を終えた人が「もう一度ズートピアの世界に戻りたい」と思ったときの再訪先として機能し、キャンペーン全体の長期的な露出にもつながります。公開期間を区切った期間限定サイトにすることで、今しか体験できない希少性も演出しています。

「ヤズーJAPAN」のサイト構成とコンテンツの作り込み

ヤズーJAPANは、複数のコンテンツカテゴリを持つ「メディア型サイト」として設計されています。ニュース、天気、占い、知恵袋、ミュージック、映画、動画、特集など、多様な入り口があることで、ユーザーごとに異なる興味関心から世界観へ入っていけるのがポイントです。単なる1ページ完結型のランディングページと比べて、滞在時間が自然と伸びる構造になっています。

ニュース・天気・広告で描くズートピアの日常

ニュースコンテンツでは、ズートピアの街で起きている出来事が、現実のニュースサイトさながらのフォーマットで並びます。例えば、街の治安や教育、働き方など、社会性のあるテーマを扱うことで、映画の世界観に社会問題や多様性といったメッセージが込められていることをさりげなく伝えています。天気予報も、都市名やエリア名がズートピア仕様になっており、「明日はあの街で雨が降るらしい」といった感覚で世界を身近に感じられます。さらに、紙面風に配置されたバナー広告もすべて架空の企業・サービスになっており、サイト全体でズートピアの日常を描いている点が見どころです。

「動物占い」「知恵袋」などの参加型コンテンツ

ユーザーが能動的に関わる導線として用意されているのが、「ズートピア動物占い」や「ズートピア知恵袋」のような参加型コンテンツです。動物占いでは、自分がズートピアの世界でどんな動物タイプに近いか診断できます。結果ページには、その動物らしい性格や相性の良いキャラクターなどが紹介され、キャラクターへの愛着形成にもつながります。知恵袋風コンテンツでは、ズートピア市民が日常の悩みを投稿しているという設定で、作品のテーマにも通じる多様性や共生に関する話題が取り上げられることがあります。これらのコンテンツによって、ユーザーは単に情報を読むだけでなく、ズートピアの登場人物として振る舞える体験を得られます。

ミュージック・映画・動画ページと外部サイト連携

ミュージックページでは、映画で使用されている楽曲や雰囲気に合う音楽コンテンツを紹介しています。また、映画ページでは、作品の基本情報や予告編、キャスト紹介など、映画公式サイトへの導線としての機能も持たせています。動画ページや特集コンテンツでは、予告編やメイキング映像、キャンペーン動画などをまとめて視聴できるようにし、YouTubeなど外部プラットフォームへのリンクも整理されています。こうした構成によって、ヤズーJAPAN自体が情報の終点ではなく、公式サイトや劇場、配信プラットフォームへとユーザーをつなぐハブとして機能している点も重要です。

「ヤズーJAPAN」のインワールド設計とブランド体験

ヤズーJAPANの最大の魅力は、すべてのコンテンツがズートピア世界の中で実在しているという「インワールド設計」にあります。現実の企業ロゴや現実広告はほとんど登場せず、ズートピアの住民だけが知っているはずのサービスやニュースが画面いっぱいに広がります。ユーザーはブラウザでサイトを見ているにもかかわらず、あたかも映画の世界にログインしているかのような錯覚を味わえる設計です。

架空広告・架空ブランドで広げる“インワールド広告”

サイト内のバナー広告やタイアップ風の枠は、すべてズートピア世界の架空ブランドで埋め尽くされています。例えば、チーター向けの甘いドーナツブランドや、ナマケモノが運営していそうなゆっくりしたWi-Fiサービスなど、キャラクター性を活かしたネーミングやコピーが並びます。これらは現実の広告出稿ではないものの、ユーザーから見ると「ズートピアにはこんな企業があるのか」と世界の広がりを感じる要素として機能します。また、映画のストーリーに直接登場しない要素も多いため、作品の「余白」を埋めるファン向けコンテンツとしての価値も高いと言えます。

社会問題や多様性テーマをにじませるニュース記事

ニュース記事の中には、ズートピアの街で起きている事件や社会課題を扱ったものもあります。たとえば、異なる動物同士の共生や偏見、職場での働き方など、映画の根底にあるテーマをニュースという形で再表現しているケースも考えられます。この手法により、サイトを読み進めるだけで、作品が伝えたいメッセージが自然とユーザーに届きます。映画本編はエンタメとして楽しめる一方で、ニュース記事を通じて「ズートピアが描く社会は自分たちの社会とも地続きだ」と感じてもらえる設計になっている点がポイントです。

ネタバレを避けつつ作品のトーンを伝える情報設計

プロモーションサイトにおいて難しいのは、「世界観を十分に伝えつつ、ストーリーのネタバレは避ける」というバランスです。ヤズーJAPANでは、キャラクターの細かな関係性や物語の核心には踏み込み過ぎず、あくまで街の日常や周辺情報を中心にコンテンツを構成しています。その結果、映画公開前のユーザーも安心してサイトを楽しむことができますし、鑑賞後に再訪しても「このニュースはあのシーンとつながっているかも」と新たな発見が生まれます。ネタバレを避けつつ作品のトーンを伝えるという意味で、非常に丁寧な情報設計になっていると言えます。

「ヤズーJAPAN」のシェアを前提にしたデジタル戦略

ヤズーJAPANは、サイト内で完結する体験に留まらず、X（旧Twitter）やLINEなどのSNSで話題が広がることを前提に作られています。診断結果やニュース記事、ユニークな広告コピーなど、思わずスクリーンショットやURLを添えて共有したくなるネタが随所に仕込まれているのが特徴です。

動物占い×X・LINEシェアで生まれる拡散

「ズートピア動物占い」は、SNS拡散を最も意識したコンテンツと言えます。ニックネームと生年月日を入力するだけで簡単に診断可能です。診断結果には、「あなたは○○タイプ」というわかりやすいコピーと、キャラクター性を端的に表す説明がセットになっており、そのままX（旧Twitter）やLINEでシェアして話題化することができます。結果ページにシェアボタンが用意されているため、ユーザーはワンクリックで投稿可能です。

「ニュースをネタに語りたくなる」話題設計とリアルタイム検索

ニュース記事も、単に世界観を補足するだけでなく、「友だちに共有したくなるネタ」として設計されています。例えば、「ズートピアの教育現場に変革の風」といった見出しは、現実のニュースと見間違うようなリアリティがありながらも、よく読むとユーモアが仕込まれている構成です。ユーザーは気になった記事をSNSで共有し、「このニュース、細かいところまでこだわりがすごい」とコメントを添えたりします。その結果、「ヤズーJAPAN」「ズートピア2 動物占い」といった関連ワードがリアルタイム検索で上昇し、検索エンジン経由の新規流入も生まれます。

ファンブログ・個人ポストによる二次露出の広がり

こうした仕掛けの積み重ねにより、公式の投稿だけでなく、ファンによるブログ記事や個人ポストが自然と増えていきます。たとえば、「全部のニュースを読んでみた感想」「診断結果別おすすめキャラクター」といった二次創作的なコンテンツが自発的に生まれることが想定されます。これらはヤズーJAPANへのリンクやスクリーンショットを伴うことが多く、結果として検索エンジン上でも多様な入口が形成されます。UGC（ユーザー生成コンテンツ）を促す設計により、キャンペーン終了後も一定の話題が継続しやすい点は、デジタル施策として大きな強みです。

「ヤズーJAPAN」のマーケティング活用ポイント

ヤズーJAPANの事例から、企業が自社プロモーションに応用できるポイントを整理します。ポータル風サイトというフォーマットやインワールド設計を、自社のブランドに組み込むアイデアを考えてみましょう。

生活者の「いつもの画面」を借りる世界観設計

ヤズーJAPANがユニークなのは、映画の世界観をゼロから構築するのではなく、ユーザーが日常的に見慣れているポータルサイトの「型」を借りている点です。これにより、初見でも迷わずに使える安心感と、細部の違いに気づいたときの楽しさを両立しています。自社ブランドに応用する場合も、顧客が日常的に触れているUI（ニュースサイト、ECサイト、タイムライン、チャット画面など）をベースに、世界観や商品特性を落とし込むアプローチが考えられます。「見慣れた形なのに中身が自社ブランドに染まっている」という体験は、没入感と話題性を両方生み出しやすい手法です。

メディア化ページでブランド接触時間を伸ばす

一般的なプロモーションページは1ページ内で完結させる設計になりがちですが、ヤズーJAPANは複数のカテゴリと読み物コンテンツを備えたメディア型ページになっています。これにより、ユーザーは1回の訪問で複数のコンテンツに触れようとするため、自然と滞在時間とページビューが増えていきます。コンテンツを束ねた小さなメディアとして設計することで、ユーザーと自社商品の接触時間を伸ばし、自然と商品への関心も高めることができます。

長期的なファン育成を見据えたプロモーションの考え方

ヤズーJAPANは、映画公開時の集客だけを目的にした短期目線の施策ではなく、作品やキャラクターに長く愛着を持ってもらうための装置としても機能しています。世界観に関する情報や小ネタが多く蓄積されているため、ファンは繰り返し訪れたくなります。自社IPやブランドでも、キャンペーン終了と同時にサイトを閉じてしまうのではなく、あとから振り返って楽しめるアーカイブや、次回作・次の施策への布石になるコンテンツを残しておくことが重要です。このように長期的なファン育成やブランド好意形成を見据える姿勢が大切です。

「ヤズーJAPAN」に関するよくある質問

まとめ

ヤズーJAPANは、『ズートピア2』の世界に実在していそうなポータルサイトというユニークなコンセプトで、ユーザーを物語世界へ自然に引き込むプロモーションサイトです。ニュースや占い、知恵袋など複数のコンテンツを束ねたメディア型の構成により、滞在時間や回遊性を高めながら、作品のテーマやメッセージを違和感なく届けています。さらに、動物占いをはじめとしたSNSシェア前提の仕掛けによって、ファン同士の会話を生み出し、キャンペーン全体の話題化にも貢献しています。自社ブランドのプロモーションを企画する際は、ヤズーJAPANの設計思想をどう応用できるか検討してみるとよいでしょう。

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プロフィール

藤井翠

国際教養学部。 マーケティングに応用できる行動経済学や心理学の理論やフレームワークなどの解説記事を執筆。