マーケティングコラム

クッキーレス対策ソリューション

2021.10.08Column
クッキーレス対策ソリューション

21年4月下旬から全てのアプリでATT(App Tracking Transparency)の実装が義務化された影響により、iOSデバイスの広告ID(IDFA)の取得が非常に困難な状況となりました。
このような規制は今に始まった話ではなく、2017年ごろからAppleでITP(Intelligent Tracking Prevention)として段階的にアップデートが行われており、すでにsafariブラウザではサードパーティーCookieの取得が非常に困難な状況となっております。
同様に、GoogleでもChromeブラウザのサードパーティーCookieを使用不可とする動きがすでに発表されており、完全Cookieレスの時代は目前に迫っています。
また、Web上の個人情報保護については単にプラットフォーム側の規制だけではなく、法律による国レベルの規制も世界中で進んでおり、代表的なものとしてEUのGDPR(一般データ保護規則)、アメリカのCCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)などが挙げられます。
Cookieレスの時代、それはweb広告において直接的なCVを狙うのに最も効果的だったリターゲティング広告の終焉を意味します。

そのような状況を踏まえ、本記事ではCookieに依存せず効率的かつ効果的なwebマーケティングを行うためのソリューションを紹介していきます。

  

1st partyデータ/0partyデータの活用

Cookieレス対策として初めに紹介したいのは1st partyデータの活用です。
1st partyデータ=広告主が保有している顧客データとお考え下さい。
1st partyデータは企業にとっての資産であることに間違いはないですが、単に保有しているだけではwebマーケティングに活用することはできません。
そこで紹介させていただく活用方法が、この1st partyデータを広告配信プラットフォームに登録されているユーザー情報とマッチングさせることでユーザーの行動を計測するという方法です。マッチングのキーとして氏名・電話番号・メールアドレス等の情報を用います。
このマッチングを行うことにより、Cookieがなくても広告接触ユーザーとコンバージョンユーザーを同一人物として特定ができるため広告効果を正確に計測することが可能となり、さらにクロスデバイスやクロスドメインによる計測漏れもカバーできます。
FacebookやLINEでは既にこのマッチング方法が可能となっています。
また、FacebookはCV APIという、ブラウザによるCookieのブロックを防ぐサーバーtoサーバーのマッチング方法も開発されているため、今後規制が進む中でも正確なデータの計測が可能となっています。

続いて紹介させていただくのが0partyデータの活用です。
0partyデータという言葉、1st partyデータや3rd partyデータと違いあまり聞きなれないワードだと思います。
0partyデータとは、ユーザーが何らかの対価を得ようと自ら広告主に提供する情報のことで、「同意を得た1stパーティデータ」と解釈されることが多いです。調査企業のフォレスターが2018年11月に命名して広がったキーワードです。
例えば、プレゼント企画などユーザーに対価を用意することで氏名等の情報を取得したり、アンケートに回答してもらって取得したデータのことを指します。ここで取得する情報はマーケティングに活用するという同意を本人から得る必要はありますが、対価があるため多くのユーザーは同意を抵抗なく行ってくれることが想定されます。
これが1st partyデータとの大きな違いで、1st partyデータではユーザーのwebサイト閲覧履歴や購買履歴など、本人の同意を得ることなく収集したデータが多く含まれるため、同意のスムーズさという観点から欧米では特に0partyデータを収集する方法が活発になっています。
また、1st partyデータでは行動履歴を元にするため、「○○に興味があるだろう」という行動履歴からの推測が基本となりますが0 partyデータはユーザーからの情報を元にするため「○○に興味がある」という正確な情報を取得できるのも特徴です。

   

統合IDソリューションの活用

統合IDとは、3rd party Cookieを使わずに、ユーザー1人に1つの匿名のIDを生成して広告の配信とターゲティングに使えるようにする仕組みです。
具体的には、統合IDサービス提供者が広告主の保有する1st partyデータまたはIPアドレスなどのデバイス情報等を元にユニークなIDを生成します。ここで生成されたIDは統合IDサービス提供者と接続している様々なパブリッシャーで共通のIDとして利用することができるため、Cookieに依存せずに広告配信を行うことができます。
IDとして生成することで様々なDSPやSPPで共通して利用することができることがポイントです。
代表的なサービス提供者として、LiveRamp・TAPAD・The Trade Deskなどがあります。

ネットワーク

コンテキストターゲティングの活用

最後に紹介するコンテキストターゲティングは前述の2つの方法とは違い、顧客データを必要としないため全ての広告主様ですぐにでも実施することができる対策です。
コンテキストとは「文脈」や、文章の「前後関係」という意味があり、その意味の通りAIがwebページ上にあるサイトの文脈や画像を読み取って内容に合った広告を表示させる方法です。例えばスポーツに関連するサイトにランニングシューズの広告を表示させたり、ファッションに関連するサイトに化粧品の広告を表示させたりという関連性の高いサイトへの広告掲載が可能となります。
コンテキストの設定やAIの仕組みは様々ですが、多くの場合はキーワードやトピックを事前に設定、AIがクローラーで読み取ったサイト内の文章を分析し、登録キーワードにマッチするサイトに広告を表示させるという仕組みです。
中には事前の設定は一切不要で、入稿する広告のタイトルや文章・画像を解析して適切なサイトに自動的に広告を掲載してくれるサービスもあります。
そのためこのターゲティング手法を使えばCookieが規制されることで行動ベースのターゲティングが規制されたとしても、自社商材・サービスに興味関心の高いユーザーへのアプローチが可能となります。

また、コンテキストターゲティングを活用することでこれまでアプローチできていなかった潜在的な見込みユーザーへのアプローチも可能となります。
キーワードを設定するという点ではリスティング広告等の検索エンジンを利用した広告と同じように思われる方もいるかもしれませんが、検索機能を持ったサイトの割合はインターネット上のほんの数%にすぎません。そのため、羂索エンジンを利用した広告では顕在層にアプローチはできても潜在層へのアプローチは実はほとんどできていないのです。
一方でコンテキストターゲティングは自社商品・サービスに関わりの深い話題を扱う数多くの中小サイトにも広告を掲載することができ、多くの潜在層へアプローチすることが可能となります。

  

最後に

今回紹介させていただいたCookieレス対策の手法は大きく分けて、「自社データ活用」「AI活用」の2パターンに分類されます。
「自社データ活用」については、プライバシーの観点から活用に至っていない広告主様も多いと思います。
しかし、多くのプラットフォーマーやメディアは規制強化や世論に対応する形で情報管理のセキュリティの強化に注力していますので、最新の状況を把握したうえで今一度検討してみるのも良いかもしれません。

三井 雄介(みつい ゆうすけ)
ライター:三井 雄介(みつい ゆうすけ)
メディアプランナー。LINE・Facebookを中心としたSNS媒体全般の担当窓口を主業務としながらオフライン領域も含めたプランナーとして従事
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