目指すは人びとの「感情解放区」。ME TOKYOが目指す新たなアミューズメント施設のあり方
エンタメや推し活文化の象徴的なスポットとして、日々多くの人びとが集まる新宿と池袋。いずれも数多くのアミューズメント施設が立ち並ぶ激戦区でもありますが、そのなかで多くの支持を集めているのが、新ブランドアミューズメント施設「ME TOKYO」です。
人びとの感情のスイッチを押すことで、世界をもっとおもしろくしたい。そんな想いが込められたME TOKYOに、人びとが惹きつけられるのはなぜなのか。GMO NIKKOの高校生インターンで「Z世代トレンドラボ」研究員の安齊瞳と八神琳音が、ME TOKYO IKEBUKURO店長の松嶋潤さんに話を伺いました。
「ゲーム設置場」ではなく「感情解放区」の施設へ
瞳:
はじめに、お店の名前についてお伺いしたいです。「ME TOKYO」というブランド名には、どんな由来があるんですか?
松嶋さん:
「ME」は「Move Emotion=感情を動かす」という言葉の略なんです。
私たちは、感情は人が行動する時の原点だと考えています。お客様や関わる方たちの感情のスイッチを私たちが押すことで、世の中をもっと面白くしていきたい。そんな想いが「ME」には含まれています。
そして、東京は日本の中心であり、最先端・最前線の場所です。そんな東京から、新しい面白さを世の中に発信していきたい。そんな想いを込めてME TOKYOと名付けました。

瞳:
ME TOKYOのコンセプトについても教えてください。
松嶋さん:
ME TOKYOのコンセプトは、「ゲーム設置場ではなく感情解放区だ」です。
一般的なゲームセンターは、どの店舗も同じような機械が置いてあって、同じような景品が並んでいる。正直、どこに行ってもあまり変わらないと感じませんか?
私たちは、ただゲーム機を設置してお客様に遊んでいただくだけでなく、お客様が感情を思いっきり解放して、その世界に没入できるような「体験価値」を提供したいんです。そこで、ME TOKYO IKEBUKUROでは今までのアミューズメント施設にないフロア構成にしました。
大きな特徴は、1階から3階まですべてクレーンゲームエリアにしていること。 池袋はアニメやマンガに関する店舗が多くて、これらを目当てにする方々にも来てほしいと思ったんです。
1階はミニクレーンを424面設置して、多彩な種類の景品を楽しめるようにしています。お客様が気軽に入れることと、ずらりと並んだクレーンゲームでインパクトを出したいと思いました。
2階はお菓子を中心に品揃えしている人気ゾーンです。一風変わった景品として、パックご飯が取れるエリアも出したりしました。3階はフィギュアが中心で、アニメや推し活を楽しみに池袋へ来るお客様が楽しめるようにしています。
すべてのクレーンゲームを遊びやすくするために、1回100円で統一しているのも特徴です。
瞳:
すごくたくさんの景品があって楽しかったです!

松嶋さん:
4階は「EMOTION LOUNGE」で、まず5DのLEDルームがあります。

ここではお客様がご自分で持ち込んだ動画データを接続し、5Dの迫力あるLEDモニターで流すことが可能です。アイドルのライブ映像を流してオタ芸をしたり、推しキャラ映像を流して記念写真を撮ったりなど、推し活で利用していただくお客様が多いです。
他には、フォトスポットを設置していたり、そのまま外出して他店のプリクラで撮影できる「コスプレレンタル」なども実施しています。「ビューティーラウンジ」では、ReFa(リファ)の最新ヘアアイロンなど、最新の美容機器やコスメテスターが試用可能です。

有料ゾーンでは、ドリンクやソフトクリームを自由に利用できて、オリジナルアレンジフロートを楽しむお客様もいます。休息スペースは壁画全面ガラス窓で、開放的な見晴らしが楽しめるのを意識しました。

瞳:
コスプレの衣装も色違いで2着ずつ置いてあったりして、友達と複数人で来ても楽しめるのがいいなと思いました。
松嶋さん:
ありがとうございます。アミューズメント施設には友達同士で来店することが多いので、同じ衣装を複数用意しておくことでより楽しめると思ったんです。

来客者の心を掴む人気コンテンツ
琳音:
ただゲームをするだけじゃなくて、特別な体験がいくつもできる場所なんですね。どういった人たちをメインターゲットにしているんですか?
松嶋さん:
皆さんのようなZ世代の女性がメインターゲットです。
いつの時代も、世の中の流行の最先端を走っているのは若い世代です。そんな方々に、クレーンゲームで景品を撮ったり4階でいろんな体験をしたり、それぞれの楽しみ方を見つけてほしい。そして、周りのお友達に「ME TOKYO面白いよ!」と勧めたくなるような場になればいいなと思っています。
ですが、実際にはより幅広い層のお客様に来店いただいています。「ME TOKYO IKEBUKURO」をオープンして意外だったのは、お子様連れのファミリー層が多いことでした。5Dルームでお子様の誕生日映像を流すファミリーのお客様がいたことは、とても印象に残っています。
こうしたお客様にも安心して楽しんでいただけるよう、施設はバリアフリーに対応してエレベーターも完備しています。
琳音:
Z世代のお客さんに、特に人気のコンテンツはありますか?
松嶋さん:
やはり、1階にあるミニクレーンのコーナーがすごく人気です。
琳音:
小さいぬいぐるみがたくさんあって、すごく可愛かったです。
松嶋さん:
今、女子高校生の間ではスクールバッグにぬいぐるみやチャームをたくさんつけるのが流行っているんですよね?また、バッグにマスコットをつけて「痛バ(痛バッグ)」をつくる子も多いですよね。そんなお客様のために、ミニクレーンにはとても力を入れています。
琳音:
ME TOKYOの中で、「これは絶対に体験してほしい!」という松嶋さんイチオシのコンテンツはありますか?
松嶋さん:
4階の5Dルームです。常設型の5Dルームとしては、この施設が日本初なんですよ。
琳音:
そうなんですね!
こういうアミューズメント施設に来たら、クレーンゲームをしたりフォトスポットで写真を撮ったりして帰ることが多いんです。5Dルームみたいな立体的な映像を楽しめる場所は見たことがなくて、すごいなと思いました。
瞳:
部屋の全面に映像が表示されて、迫力がすごかったです。
松嶋さん:
ありがとうございます。5Dルームの魅力は、なかなか言葉では伝わりづらいですが、体験していただいた方からはすごく満足度が高い評価をいただいているコンテンツでもあります。ぜひ多くのお客様に、5Dルームを楽しんでほしいです。

差別化戦略は「人」。風通しのよい環境で人気コンテンツのトレンドを読む
琳音:
池袋って、本当にたくさんのアミューズメント施設があって、まさに激戦区だと思います。その中で、ME TOKYOならではの差別化ポイントはどこですか?
松嶋さん:
それは「人」だと思っています。
今の日本人は、すごく自己肯定感が低いと言われていますよね。よく言えば謙遜ですが、どうしても自信がなくて、なかなか自分を表現できない人も多いです。私たちは「感情解放区」としてお客様にワクワクしてもらいたいのに、働くスタッフが自信なさそうにしていたら、お客様は一気に現実に引き戻されてしまいます。
だからこそ、私たちはスタッフの「個性」をすごく大事にしています。働いているスタッフを見てもらうとわかると思うんですけど、髪型や髪色も自由で、ポーチに好きなぬいぐるみをつけたりしていますよね。そういう表現のあり方を、スタッフにも最大限楽しんでほしいんです。
瞳:
だからお店の雰囲気がすごく明るいんですね。ちなみに、働いているスタッフさんは何歳くらいの人が多いんですか?
松嶋さん:
18歳から20代前半の大学生のアルバイトがほとんどです。
瞳:
若い人たちが中心なんですね!
1階から3階までクレーンゲームがたくさんあって、景品を見ているだけでも楽しいですが、こういう景品ってどうやって流行りを調べて決めているんですか?
松嶋さん:
ひたすらネットで情報を集めたり、お取引先様からお話を伺ったりしています。地道にチェックしていく過程で、「今これが来ている!」というコンテンツを探し出すんです。
琳音:
大変そう……!

松嶋さん:
タイミングによっては、急に人気が爆発するコンテンツもあります。特に韓国系のキャラクターは急にドン!と来ることが多くて、クレーンゲームに長蛇の列ができることもあるんです。
そういう時は「ああ、もっとたくさん買っておけばよかった…!」って思うんですが(笑)、主要な景品はお店に並ぶ数ヶ月前に発注するので、それも難しい。「2週間後にこの景品を入れたい」という発注はできないので、数ヶ月先の流行をイメージして景品を考えています。
それが大変な部分でもあり、楽しい部分でもあります。いかにアンテナを張って情報を集めるかが勝負ですが、私一人では絶対に無理なので、お店のスタッフにいろいろ聞きながら参考にしています。
琳音:
スタッフさんから情報を集めるんですね!
松嶋さん:
うちのスタッフは私に気兼ねなく話しかけてくれるので、そういうトレンド情報もすごく聞きやすいんですよ。若いスタッフたちが今何に興味を持っているのか、リアルな声を聞けるのは本当に貴重です。
「店舗の店長」というと、スタッフからするとなんとなく話しかけづらい雰囲気があります。私はそういうのがすごく嫌で、いかに風通しの良い職場づくりができるかを常に心がけているんです。

流行の発信地から全国、海外へ
瞳:
最後に、ME TOKYOの今後の目標について教えてください。
松嶋さん:
おかげさまで、ME TOKYOは都心部ではかなり有名になってきました。「遊びやすい」とか「スタッフの感じがいい」といった声が広がっているのは、とても嬉しいです。
ただ、現在は新宿と池袋の2店舗にとどまっています。今後は東京に限らず、全国の都市部、さらには海外への出店も夢見ながら進めていきたいと思っています。
琳音:
今日はいろいろなお話を聞かせていただいて、ありがとうございました!実際に5Dルームを体験してみて、友達と一緒に来たら絶対楽しいだろうなと思いました。今度は友達を連れて遊びに行きます。
瞳:
クレーンゲームの景品が数ヶ月も前から決められていることや、そのためにスタッフさんとコミュニケーションを取ってトレンドを調べていることを知って、すごく驚きました。お店の裏側を知ることができて、とても勉強になりました。
松嶋さん:
こちらこそ、ありがとうございました。ぜひまた遊びに来てください。


- ライター:安齊瞳/八神琳音
- 安齊瞳
Z世代トレンドラボ 現役高校生研究員
渋谷女子インターナショナルスクール2期生
八神琳音
Z世代トレンドラボ 現役高校生研究員
渋谷女子インターナショナルスクール3期生



