AI検索が浸透する中でn1を動かすには~体験して思考してみた

はじめに──検索からAI検索へ
最近、通勤電車の中でChatGPTに質問を投げかける若いカップルを見かけました。週末に二人でどこの博物館に行けばいいのか、展示内容や場所などをいくつか聞き、数分後には行きたい場所を決めている様子を目の当たりにして、「調べる」という体験がこれから自然に変わっていくのだろうなと強く感じました。
実際、similarwebなどの分析ツールで見てみると、検索エンジンからの流入が減り、AIの検索機能を利用してサイトに到達する割合が一部のサイトでは増えています。
SEO(検索エンジン最適化)からAIO/GEOを見出しにした記事を目にすることが増えてきたのも、そうした背景があるでしょう。
※「AIO(AI Search Optimization)」「GEO(Generative Engine Optimization)」
変わりゆくプラットフォーム
検索プラットフォームのGoogleも、自社のGeminiの活用例としてゴールデンウイークの旅行プラン立案をブログで紹介しており、
AI検索の実用的な側面をアピールし、減少している検索エンジンの影響をカバーしようとする動きが見られます。
(Googleブログ)
また、直近5月の発表では、AIモードを検索機能に追加するなど、従来の検索エンジンとは機能自体が大きく変わっていくようです。
下記画像
(GoogleブログAIモード)
出典:Google Japan Blog 検索における AI : 情報を超えた知性へ
日帰り旅行をAI検索に任せてみる
筆者自身も日帰り旅行の計画を丸ごとAIに任せて、どういった旅行体験になるのか実験してみました。ツールとしてはChatGPT-4oとGemini 2.0 Proを使用し、自宅の横浜から日帰りで移動できる範囲でプランを生成してみました。
※2025年5月4日に検索をしたため、直近のアップデート(パーソナライズなど)は反映されていません。
Gemini は横浜を中心としたプランに加え、鎌倉と上野・浅草の3つのプランを生成してくれました
プラン1:横浜ベイエリア満喫プラン
プラン2:古都鎌倉・湘南プラン(少し足を伸ばして)
プラン3:都内(上野・浅草)下町満喫プラン
一方、ChatGPT は横浜周辺に特化した詳細な観光プランを提案してきました。日帰り旅行をAI検索に任せてみる
いずれも交通機関の選択や所要時間の算出が想像以上に正確でしたが、最初のプロンプトでは王道の場所・プランの提案に留まり、何とも興味を引かれませんでした。そこで両方のAIに「もう少し定番ではないプランはありますか?」と混雑回避の意図も込めて質問してみました。
すると、Gemini は横須賀、ChatGPT は三浦半島のプランを提案。いずれも目的地としては魅力的でしたが、三浦半島のプランは移動手段が十分に考慮されておらず、今回は Gemini の横須賀プランを採用することにしました。
提案されたプランを実行して振り返り~AIが自分をもっと知っていたら
提案されたプランに基づき、スカジャン店や三笠公園、軍港などを巡り、横須賀をある程度楽しむことはできました。
しかし、連休で人が多かったことや、個人的に魅力を感じない場所がいくつかあったため、2時間程度で帰宅してしまいました。
「行かなくてもいいかな」と感じた理由を考察すると、自分にとって明確な訪問理由がなかったことが大きな要因だと考えています。
AIのプランニングは広範な知識に基づき、自分では思いつかないような場所やルートを提案してくれましたが、個人の好みやその時の気分は考慮されていません。そのため、どうしても一般的な人気スポットが中心に表示されます。
あまりモチベーションが高くない状況で混雑している場所が表示されたため、実際に行ってみると「混んでいるから今日はいいや」となってしまったのだと思います。
GoogleのアップデートでGeminiにパーソナライズ版(検索履歴に基づく提案)がリリースされましたが、端末やブラウザ内の情報から、より自分の興味に合った場所が提案されれば、それぞれのスポットに対してより高いモチベーションで観光できたのではないかと感じました。
まとめ、今までとAI検索がより浸透した未来の予測
AI検索がより一般化すると、SEO時代と同様に検索結果にどのように表示されるかの競争が激化することが予想されます。
さらに、その先のパーソナライズ段階においては、自分たちの商品が誰のどのような課題を解決するのかを明確にし、それをWeb上の複数の場所に正確に掲載していく「設置型」の施策が重要になってくるでしょう。
また、AIで獲得した流入経路だけでなく、どのような文脈で流入したのかを可視化できるツールも開発されるなどSEO対策で行われた施策がAIOにアップデートしていくと思われます。
以下の画像で今起きている変化と今後の予測について、スライドでまとめてみました。
変化のスピードと幅が非常に大きく、すぐにこの情報も古くなってしまうかと思いますが皆様のマーケティング活動の参考になれば幸いです。

- ライター:古谷 達郎(ふるや たつろう)
- 同志社大学 文学部卒業。
マーケティングリサーチ会社を経て、2018年にGMO NIKKOに入社。
ストラテジックプランナーとしてリサーチ、戦略プランニングを担当