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App Annie Japan 日本代表上村様インタビュー アプリマーケティングのトレンド、徹底討論

2021.06.24Premium Contents
App Annie Japan 日本代表上村様インタビュー アプリマーケティングのトレンド、徹底討論

コロナ禍で、アプリマーケティングのトレンドは様変わりした。 日本だけでなく世界のマーケットトレンドを知ること、ユーザーの利用行動の推移と変化をつかむことは、あらゆる企業にとって大きなビジネスチャンスにつながることでもある。 App Annie Japan 日本代表の上村洋範氏に、アプリマーケティングのトレンドについて、具体的な実例の紹介を交えながら、語ってもらいました。

スマホ行動≒消費者行動

五十嵐:App Annie社が日本に参入されたのは、いつからですか?

上村:日本で法人登録をしたのは2014年ですが、ビジネス自体は2013年頃からやっています。お客様は全世界で1,200社、国内で250社ほどいらっしゃいます。業種は多種多様で、もともとゲームの会社さんが多かったのですが、今はいろいろな業界の方々がモバイルマーケットに注目されていて、トヨタ社、パナソニック社などの大手メーカーにもご採択いただいています。

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五十嵐:メーカー企業も導入しているのですね。それら企業はどのような理由で導入するのでしょうか?

上村:今、日本人の1日あたりのスマホ利用時間はテレビの視聴時間よりも長くなっています。消費者が何らかの行動をとる際はかなりの確率でスマホがセットになっています。つまり、スマホの行動を分析することで消費者の行動そのものが結構見えてくるのですね。

消費者がいま何に関心があるのか?どこに時間やお金を使っているのか?など、「アプリのデータ」というよりも「消費者の行動データ」を分析する目的で我々のデータにアクセスしていただくことが多いです。

コロナ禍でのアプリトレンド

五十嵐:ここからは世界と日本のアプリトレンドの違いについてお聞きしたいと思います。まずは日本で大人気のゲームについてはいかがでしょう。

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上村:それが、日本のゲームアプリのダウンロード数は、昨対ではマイナスなんです。あれだけ次々と新しいゲームが出てきているのにも関わらず、です。
一方で、非ゲーム領域に対してユーザーがお金を使うようになってきた傾向があります。非ゲームアプリの2019年と2020年の収益を対比すると144%とここ1年でかなり伸びています。

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五十嵐:非ゲーム領域で特に伸びている分野はありますか?

上村:今、非ゲーム領域で一番伸びているのは電子書籍関連ですね。コロナをきっかけにグーンと上がっているのが分かると思います。ほかには、ソーシャルのマッチング系、ライブ配信も伸びています。

五十嵐:なるほど。コロナを機に、かなりマーケットが変わったんでしょうか?

上村:表左側のダウンロード数推移のグラフをみると3月から5月にかけてヤマがありますよね。日本のマーケットにおいてはもともと新生活準備月の3月にダウンロード数が増える傾向にあるのですが、それが5月まで継続したのはこれまでにない動きでした。

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さらに詳しくみると、電子書籍や動画サービスといったエンターテインメントカテゴリで同じような波形をみせています。家にいる時間が長くなってエンターテインメントアプリサービスの消費が増えた、まさにコロナの影響が表れた結果ですね。

五十嵐:デリバリーサービス、例えばUber Eatsなどはどうですか?

上村:Uber Eatsはフードドリンクというカテゴリーに入っているのですがやはり伸びていますね。

世代別でみても面白い傾向があります。たとえばZ世代は、ソーシャルやエンターテインメント、ファイナンスの成長が大きいのがわかります。

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五十嵐:なるほど。Z世代でもファイナンスの成長が大きいというのが意外なところです。

上村:Z世代はネットバンキングへの抵抗がほとんどないですからね。紙の通帳文化の私たちとは銀行の利用方法がかなり変化していると思っています。
この世代の人たちにとっては、そちらの方が金利も良いし使い勝手も良い。他を選ぶ理由がなくなっていく未来になるかもしれませんね。

株取引など投資関連アプリの利用もコロナのタイミングで盛り上がった事象の一つですね。在宅時間が増えたことで投資に興味を持っていた一般消費者が多く参入し、利用時間がぐっと伸びました。これは日本に限らず世界的な傾向でもあります。

五十嵐:ファイナンスの分野もコロナがターニングポイントとなっていきなりデジタルシフトしていくということがあるんですね。

上村:アメリカでは教育カテゴリーが伸びました。例えば「Masterclass」というアプリ。これはひとことで言うと「その道の一流のプロが教えます」というサービスです。
プロのテニスプレイヤーがテニスを教える、三ツ星レストランのシェフが料理を教える、といったものです。このサービスはサブスクモデルなのですが、年間2万円とかなり高額なんです。

五十嵐:2万円!高いですね。

上村:それが高額にも拘らずアメリカではユーザーをどんどん伸ばしているんですね。

日本でも英会話アプリの利用が増えています。在宅時間が増え、自分に投資をするという観点でアメリカでも日本でも教育熱が高まってきているのだと思います。

五十嵐:サブスクリプションモデルの利用者の数は、日本よりアメリカの方が多いのですか?

上村:あくまでも感覚値ですが、おそらくアメリカの方が多いかなと思います。サブスクリプションモデルはアメリカの方が先行して始まっていたというのもありますが。

五十嵐:日本国内でもいろいろなサービスがサブスク化してきていて、このモデルにかなり慣れてきた感じはしますよね。

五十嵐:動画アプリはどうでしょう。ここ1~2年で勢力図が変わった、というようなことはありましたか?

上村:純粋に動画アプリという観点でいうとYouTube一強ですが、動画アプリの定義を少し広げるなら、TikTokの伸びは無視できません。市場破壊といってもよいくらいですね。これ(図●参照)はアジアと太平洋だけのデータになりますが、マンスリーアクティブユーザーの数がオーストラリアや中国、インドネシア、韓国などでトップ5に入ってきています。アメリカもTikTokの牙城ですね。この1~2年でTiKTokは世界中で思い切り知名度を上げました。
各国の状況に合わせてしっかりローカライズを行っておりますし、そういった見えないところの努力がデータに表れています。

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五十嵐:ゲームカテゴリーの傾向はどうですか?

上村:昨年の3~5月はいわゆる広告収益型のカジュアルゲームとか、Nintendoの「あつまれどうぶつの森」のアプリ版などがダウンロードの数を牽引しました。夏頃からは「原神」などのいわゆるコアなゲームが多くリリースされて需要を伸ばしました。
あと今年でいうと「ウマ娘」の勢いはすごいですね。今年の1月~3月に区切ってゲームのデータを抽出してみると、ダウンロード数も収益もアクティブユーザー数もすべて「ウマ娘」がトップです。

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五十嵐:そんなにすごいんですね! 「ウマ娘」、私は直近まで知りませんでした。

上村:もともと競馬好きな人はもちろん、いわゆる擬人化や2次元が好きな人もしっかり取り込んでいて、オーディエンスがすごくバラエティに富んでいます。課金状況も良好です。

今後注目のアプリカテゴリは?

五十嵐:では、今後伸びそうな注目のアプリカテゴリについて教えてください。

上村:ヘルスケアやフィットネスの領域に注目しています。2020年前半は、走った距離などの運動量を計測する運動管理系のサービスがアクティブユーザーを伸ばしていました。2020年の後半はそれに少し変化がみられていて、食など体の内側から健康管理へアプローチするサービスが伸びています。例えばダイエットアプリですね。
もうひとつ、体を内側から磨く、という意味で注目しているのがメディテーションという領域です。
ちょうど海外から日本に対して色々なサービスが入ってきているのが、

五十嵐:瞑想アプリですか?

上村:はい。今ちょうど海外からいろいろなサービスが進出しています。
例えば、音楽を流してくれたり瞑想の時間を計ってくれたり・・・と、集中できる環境を作って瞑想をサポートするアプリです。Meditopiaというアプリはかなり日本でも受け入れられています。
この分野、海外で一番強いのはCalmというサービスで、日本にも既に入っています。

五十嵐:そういったアプリは、在宅で自分だけの環境を持てる時間が物理的に増えたから、ということがあるかもしれないですね。

上村:絶対あると思います。企業様からしてもビジネスチャンスの領域だと思います。最近ではゲーム会社が製薬会社とコラボして、ヘルスケアの業界に参入するケースもあります。例えばカシオ社がアシックス社とコラボしたランナーサポートアプリなどです。個々の企業単独では実現できないことも、他社と協業してパートナーを組むことによってそのマーケットに参入していくことが、デジタルの世界だとやりやすい。そういった意味でもヘルスケアは参入プレイヤーが増え始めている注目領域です。

五十嵐:最後に、今アプリサービスを強化していこうとしているマーケッターの皆さんに、App Annie社から「これだけはきちんと押さえておくべき」というアドバイスがあればいただけますか?

上村:スマホの「利用時間」という観点で物事を考えることですね。
日本人の1日あたりのスマホ利用時間は2018年で2.7時間。それが2020年は3.7時間と、この2年間で1時間も増えているんです。

世界に目を移すと、インドネシアやブラジルのスマホ利用時間は1日あたり約5時間に達しています。これらの国に限らず全ての国で利用時間は伸びていてモバイルに対する熱量はずっと上がり続けていますので、ここを無視して戦略設計をするというのはもうないと思っています。

あとは「若い人=ゲームとSNSでしょ」「シニアはスマホ使いこなせてないよね」といった固定概念も無くすべきです。もしも、まだそう考えている方がいるのであれば、すぐにでもマインドチェンジをしていく必要があると思います。皆さんの想像以上にスマホは年代関わらず生活に広く深く浸透していますし、まだまだ浸透のスピードは緩むことはないでしょう。

五十嵐:非常に勉強になりました。本日は、ありがとうございました。

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TRUE MARKETING編集部
ライター:TRUE MARKETING編集部
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