AI時代こそ「人の心」に目を向ける。「GIFTFUL」飯髙悠太が語る、ビジネスにおける信頼関係構築の新回答
GiftXが提供するギフトサービス「GIFTFUL」。2023年にリリースしたこのサービスは、受け取り手がギフトを選び直せる画期的な仕組みが支持され、多くのユーザーに利用されています。受け取り手が何を選ぶかが会話のきっかけになり、相互理解や関係づくりにつながりやすいのも特長です。法人利用のケースも増えており、2026年1月27日には法人ギフトプラットフォーム「GIFTFUL for business」がリリースされました。
法人ギフトプラットフォーム GIFTFUL for business
GiftX共同創業者で代表取締役の飯髙悠太さんは、「TRUE MARKETING」を共に推進した1人でもあります。彼はこのAI時代において、ギフトというコンテンツが大きな価値を生み出すと考えています。その真意について、「GIFTFUL」のいちユーザーでもある当社執行役員の萩坂拓也が伺いました。
(執筆・撮影:サトートモロー 進行:萩坂拓也 編集:神津洋幸)
オンライン施策の限界で再発見されたオフラインの価値
萩坂:
飯髙さん、お久しぶりです。こうして対談するのは、以前「GIFTFUL」の対談に出演させいただいて以来でしょうか。
相手の印象に残る手土産を。GMO NIKKOのおもてなし文化に寄り添う、新しい贈り物の形
飯髙:
そうかもしれません。メディア運営でご一緒した「TRUE MARKETING」にゲストの立場で出るのは、少し不思議な気持ちです(笑)。

萩坂:
「GIFTFUL」のリリースが2023年なので、もうすぐ3年が経とうとしています。コロナ禍や生成AIの登場など、この数年で企業の置かれる状況は激変したと感じます。代表的なのが、オンライン商談やウェビナーの急速な普及です。
一方で、最近はオフライン施策の価値が見直されているように感じます。
飯髙:
おっしゃるとおりで、「リアルってやっぱりいいよね」と考える人が非常に増えていると感じます。知人の経営者は、昨年からオフラインへの展示会出展や講演出演の回数を倍増させたそうです。出展費用などコストは増しますが、それをペイできるほどの反響が得られると話していました。
萩坂:
私も2025年は、AIによる効率化と逆行するように、リアルの手触り感や豊かさ、貴重さを再発見した気がします。
飯髙:
マーケティングの文脈で考えるのなら、ウェビナー慣れやウェビナー疲れしているなと感じますね。ここ数年でウェビナーが乱発され、獲得したリードにメールと架電する。この繰り返しにうんざりしている人も少なくない気がします。ユーザー側も、「このメールは一斉送信だな」「この文章は本人が書いていないな」とすぐに見抜くようになりました。
萩坂:
メール一斉送信は社内でも行っている施策なので、あまり大きな声で批判できないですが、可能であれば避けたい手法ですよね。ある著名なマーケターは、新年早々にFacebookで「機械的な年末年始の挨拶を送信してきたメールはすべて受信拒否しています」と書いていました(笑)。
飯髙:
機械的な営業メールへの嫌悪感やリアルな場を求める声の背景には、「血の通ったコミュニケーション」の価値の高まりを感じます。合理的で機能的で効率的というAIに代表される価値観に対して、ハートフルでウェットな関係性構築に重きを置く考え方が、今後絶対に台頭してくると思います。
情報過多の時代で「忘れられない人」になるために
萩坂:
オフラインの重要性に注目する一方で、以前とは違う出会いや関係構築も必要だと感じています。というのも、オンラインで誰とでも簡単につながれるようになった反動で、一つひとつの出会いが希薄化していると思うんです。昔と比べて、一日に接する人の数は10倍くらいに膨れ上がっているとも感じます。
情報がフロー型でどんどん流れていくように、ほとんどの出会いは記憶に残らず、次の日には忘れられてしまう気がしますよね。これだけ多くの人と会える時代だからこそ、「覚えてもらう」ことの難易度が格段に上がっています。
卓越したプレゼン能力や営業力で強烈な印象を残せるのは、ほんの一握りのトップセールスだけ。残りの95%以上は、どうすれば相手の記憶に残り、「第一想起」される存在になれるのか。これは、多くのビジネスパーソンが抱える悩みだと思います。
だからこそ、忘れられないようにメモライズしてもらうためのコンテンツの一つとして、ギフトはものすごく費用対効果の高い施策だと思うんですよね。

飯髙:
同感です。その上で、「GIFTFUL」は、ギフトを通して各接点における体験価値を高め、その後のコミュニケーションにつなげられるようなサービス設計にしています。
例えば、当社でサポートしている株式会社EXIDEA様はBtoB向けのサミットで参加者全員の席に、あらかじめGIFTFULのカードを置いています。すると、会場のあちこちで「これなんだろう?」「選び直しができるんですか」といった会話が自然に生まれたそうです。
相手がギフトを受け取ってくれたら、改めて連絡して商談へとつなげていきます。この施策により、商談化率が従来の150%まで向上しました。しかも先方から、「先日は素敵なギフトをありがとうございました」とお礼をいただくことも多かったそうです。
ギフトはあくまでコミュニケーションの手段の一つですが、相手が「嬉しい」と感じる体験をつくり、気持ちを伝えるきっかけとして機能することは、この事例からも見えてきます。

萩坂:
ギフトがアイスブレイクの役割を果たし、円滑な関係構築につながったのですね。
飯髙:
株式会社ベーシック様は、展示会でスタッフに「GIFTFUL」のギフトカードを渡して、ブース訪問者にカードを手渡すようにしています。「本日はお時間をいただき、ありがとうございました」と一言を添えて。そして、ギフトを受け取った方と次回打ち合わせを設定しています。
萩坂:
どちらのケースも、ギフトというワンクッションの工夫でコミュニケーションの質を変えたのですね。
飯髙:
一度「GIFTFUL」を使うと、「こちらはおすすめのお菓子を選んだけれど、相手はお酒を選んだ。今度はおすすめの日本酒をプレゼントしよう」という形で、相手の趣味趣向を知るきっかけにもなります。
それと面白いことに、「GIFTFUL」の法人利用では「相手のご家族がギフトを選び直した」というケースも多いです。ギフトをどう選んだのか聞いたところ、奥様やお子さんが選んだと言われたと。こうしたやりとりも、相手と特別な関係性を築く上で重要だと思います。
私はよく、Facebookの誕生日通知をきっかけに、「おめでとうございます」というメッセージを「GIFTFUL」のギフトリンクとともに送ります。久しぶりで連絡しづらい相手でも、誕生日というモーメントを活かせば、とても自然に関係を再構築できます。
営業から人事まで。社内外のつながりを深めるギフト
萩坂:
先ほどの2社以外にも、どのようなユースケースが生まれているのか教えてください。
飯髙:
例えば、D2C企業のレピールオーガニックス様は、年間プラン契約者に純粋に感謝の気持ちを伝えたギフトとして「GIFTFUL」をお送りしたことで定期継続率が12%も向上しました。

それだけでなく、お客様からギフトに対してのお礼はもちろん、ブランドや商品に対しての想いや感謝の気持ちが沢山届いています。お礼メッセージは必須では無いのに書いてくださる方なので、アンケートで回収するお声などとは明らかにテンションが違います。感情が乗った熱量がある生の声で、お客様が本当に喜ばれていることを実感しています。

萩坂:
LTVの高いビジネスとは特に相性が良さそうですね。
飯髙:
株式会社CARTA ZERO(カルタゼロ)様は、お中元・お歳暮のタイミングで毎回ご利用いただいています。以前は総務部門が画一的なギフトを手配していましたが、GIFTFULのギフトカードで送る形に変更。受け取り手が好みに合わせて選び直せることで満足度が高まり、営業担当者も受領状況をきっかけにフォローできるようになり、顧客とのコミュニケーションが生まれやすくなったそうです。
オフィス移転を手がける株式会社IPPO(イッポ)様は、顧客企業の周年記念に「GIFTFUL」を贈っています。ギフトをきっかけに、「人数が増えたのでまた移転の相談をしたい」と、新たなビジネスにつながることもあるそうです。
それと、「GIFTFUL」はエンゲージメント向上の一環として、社内の施策にももちいられています。
萩坂:
というと?
飯髙:
株式会社Sun Asterisk(サンアスタリスク)様は、社員の誕生日に人事からSlackでGIFTFULのリンクを送っています。1on1などの場面で選んだギフトについて話すなど、アイスブレイクの話題にしているそうです。
テテマーチ株式会社様は創業10周年に実施した特別企画に、社員が一番大切な人に感謝を伝えるサプライズギフト企画を実施しました。そして、「GIFTFUL」でギフトを受け取った結果、ご家族と社員との間で多くの会話が生まれたり、ご家族から感謝の言葉をもらったりしたそうです。
また、株式会社ホットリンクは永年勤続表彰を画一的な記念品から「GIFTFUL」に変えました。そのおかげで、社員からの喜びの声が大きく増えたそうです。
このように、さまざまなシーンで、体験価値の向上や関係構築を深める取り組みとして活用されています。
ウェットな体験と徹底的に効率化された仕組み
萩坂:
どれも非常に心温まるユースケースですね。いち利用者として、「GIFTFUL」がもたらす体験は、非常にハートフルで心の通ったものだと感じます。「選び直し」という行為を通じて相手を知り、選んだものを通じてコミュニケーションのきっかけが生まれる。また贈り手と受け取り手それぞれが、相手にメッセージを伝える仕組みもあります。
その一方で、裏側のシステムは徹底的にDX化され効率化されているというバランスが素晴らしいですよね。いい意味で「ずるい」と感じます(笑)。

飯髙:
ありがとうございます(笑)。「GIFTFUL」のサービスを設計するとき、入り口はウェットな体験でありながら贈り手の手間は最小限に抑えるという仕組みに、徹底してこだわりました。
「プレゼントを贈る」という行為のベストな形は、相手のことを思い自分で品を選んで渡すことだと思います。しかし現状、それを目の前の全員にやるには無理がある。とはいえ、効率を重視しても、ギフトの贈り手や受け取り手にとって幸福になれない体験が生まれてしまいます。
当社が行った調査では、好みではないプレゼントを受け取った人の約30%が「捨てた」と回答していました。こうした悲劇を生まないように、「GIFTFUL」は効率化しつつも贈り手・受け取り手の感情を大切にしたサービス設計を考えました。

捨てられるギフトは年間6,700億円。3R推進月間に合わせ、選び直せるギフト「GIFTFUL」が廃棄ギフトの実態を調査
法人向けプラットフォームの「GIFTFUL for business」は、DXの要素をさらに強化しています。例えば、管理画面を通じて誰がいつギフトを受け取ったのかといったステータスを、一元管理できるようになります。
意思決定するのはいつだって「人間」だ
萩坂:
「GIFTFUL」の事例を聞いて、ギフトが営業、マーケティング、採用などあらゆる企業活動で、関係性を豊かにするコミュニケーションツールなのだと再認識しました。
飯髙:
ありがとうございます。この数年、私が一貫して考えているのは、AIがどれだけ進化しても最終的な意思決定は「人間」がするという事実です。
特にBtoBの経営者の方々と接していると、面白いことに必ずしも合理的な判断だけで契約しているわけではないと分かります。A社とB社の提案が同じくらいのレベルなら、「この担当者の方が、うちのことを真剣に考えてくれているから」という、非合理的な感情で選ぶケースが少なくありません。
萩坂:
最後のひと押しは、論理ではなく感情で決まる。おそらく、多くのビジネスパーソンがこの事実を経験している気がします。
飯髙:
だからこそ、AIの台頭は「GIFTFUL」にとって追い風なんです。コロナ禍でオンラインの利点が大きくフォーカスされて、ここ数年ではAIによる自動化や効率化が一気に進んだ。そして、AIが人びとの生産性を高めるほど、その対極にある「人間らしさ」の重要性が増していると感じます。
効率化できる部分はAIに任せ、そこで生まれた時間とリソースは、顧客と向き合い心を動かす体験を届けるかに使うべき。その「特別感」をどう演出するかが、これからの時代の差別化になるはずです。


- ライター:TRUE MARKETING編集部



