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【後編】ファミリーマートCMO足立様インタビュー withコロナ、afterコロナの生活者変化に対応するマーケティングとは?~変わらなければいけないこと、変えてはいけないこと~

2021.03.16Premium Contents
【後編】ファミリーマートCMO足立様インタビュー withコロナ、afterコロナの生活者変化に対応するマーケティングとは?~変わらなければいけないこと、変えてはいけないこと~

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変わりゆく消費者ニーズとメディアへの対応

五十嵐:続いて、プロモーションの議題です。コロナで変わったところもあると思いますが足立さんから見て、最適なメディアの組み立て方と判断されている基準軸はありますか?

足立:ありますが、メディアは基本的にマーケティング上、一番最後に決まるものです。
だれにどんなメッセージを伝えたいか、が決まると、自動的に最適なメディアが決まってきます。

また、最初からデジタルだけで考えることもマスだけで考えることもありません。デジタルサービスだからデジタルメディアだけを使うというのも間違いです。デジタルサービスでもテレビや新聞のCMを実施している例はたくさんありますよね。あれはもちろん効果があるからやっているわけです。

こういうターゲットに、こういうメッセージを伝えたい、だからこのメディアを使う、という順番で考えるといいと思います。

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ファミリーマートの例で言うと、お客様が多岐にわたっていて、日本全国にお客様がいらっしゃいます。広く伝えたい、広く知ってもらいたい場合には、テレビなどのマスメディアが一番です。
シニアの方にメッセージを届けたい場合も、デジタルだと届かないのでテレビか新聞で、となります。

情報の信頼性を上げるために、お客様視点では自画自賛に見えてしまうような広告ではなく、第三者視点のPRや記事を中心にしましょう、と判断するときもあります。

五十嵐:メディアは、考える順番としては一番最後ということですね。それでは、最近新しくできて「面白そうだな」と注目しているメディアはありますか?

足立:ファミリーマートとしてもサポートさせていただいているミライロIDさんという、障がい者手帳を完全にデジタル化させたアプリです。ミライロIDを覗けば、車いすが入れるトイレはどこにあるか、など様々な便利な情報が出てきます。

あと、助太刀さんというアプリも面白くて、建設業関係の方に向けメディアです。そういう切り口もあるんだな、と思いました。
デジタルメディアのいいところは、デモグラに限らない様々なターゲティングのアプローチができることに尽きると思います。そういう意味で、これらは職業とか価値観など、これまでと違った切り口でメディアを検討できることが新しいですよね。

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afterコロナの変化に向けて

五十嵐:withコロナ時代において、マーケターとしての視点で、これだけは変えてはいけないというところがあるとしたらどんなことですか?

足立:変えてはいけないのは、やっぱりお客様視点からものごとを見るということじゃないですかね。

今回コロナで、比較的いろいろなものが、ポンと変わったように見えます。ただこれは、実は前から徐々に変わっていたことがコロナでちょっとだけスピードが上がっただけなんですよね。ということは、前からの動きさえ見ていれば、ある程度予想がつくということです。マクドナルドは今好調ですが、その理由はドライブスルーとテイクアウト。でもそれはコロナで急に対応したのではなく、それよりもずっと前から準備していたんです。

戦略やマーケティング施策は作った瞬間に古くなるので、作ったものを完璧だと思わずに、お客様がどう変わっていくかを見ながら、修正し続けてあげるのがとても大事だと思います。1回作って満足しないことです。

五十嵐:変更を加える前提で作っていくということですか?

足立:はい。あと、計画を作るところに力を使わないことです。

五十嵐:そこがゴールになってしまうからですか?

足立:いえ。例えば中期計画を半年かけて作る会社があったとします。でもそれだとその計画を実行する時は半年前に作ったことを前提に進めていくことになりますよね。それでは変化に対応できない。なので、できるだけ計画づくりには時間を使わず、「今この瞬間できることはこれ」と戦略を決めて、走りながら修正していく。それがベストだと思います。

ファミリーマートでは3月から様々な仕掛けを実行していくのですが、それは3ヶ月ほどで戦略や計画を作りました。それくらいのスピード感で、修正や変化があることを前提に進めていくつもりでいないとスピード感を持って結果を出していくのは難しいと思います。

計画を作ることにあまり時間をかけないということはとても大事な気がします。計画に半年かけるということは、半年何もしないということなので。そんな贅沢なことは言っていられないです。状況は常に変わっているので、常に作ってアップデートしていく。そしてアップデートに時間をかけない。これはマーケティングに関わらず、全てのプランニングに言えることだと思います。

ファミリーマートが目指していくこと

五十嵐:足立さんがCMOとしてファミリーマートに入られたことで、これからすごく面白いことが始まるんだろうなと期待がありますがそのあたりは、いかがですか?

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足立:実は、ファミリーマートには、ある程度やんちゃとか、面白いイメージがもともとあるんですよ。過去数年間、ファミチキ先輩とか香取慎吾さんの「お母さん食堂」などの取り組みによって、比較的ユニークかつ、ちょっとお茶目というキャラクターが出来上がっているので、それは継承していくつもりです。

ただ、面白くても中身がちゃんとしていないと意味がないんですよね。今年40周年を迎えるファミリーマートは「もっと美味しく」「たのしいおトク」「「あなた」のうれしい」「食の安全・安心、地球にもやさしい」「わくわく働けるお店」の5つのメッセージを打ち出していきます。この5つのメッセージ、実はほとんどが比較的ベーシックな話をしています。
例えば「もっと美味しく」。「おいしいのは当たり前じゃん」と思うかもしれないけど、そこをあえて強く発信するのには意味があります。

ファミリーマートには実際食べると、とてもおいしい商品が沢山ありますが、残念ながらあまり知られていません。それをキチンと認識してもらい、ちゃんと食べていただくきっかけを作るために、定番商品を中心においしさをさらにアップグレードしていきます。

この5つのメッセージは「しっかりやっているんだけど、ちゃんと伝わっていないもの」を発信していくということです。
本当はいろいろなことをキチンとやっているのに、ほとんどが知られることなく終わっています。

「お母さん食堂」やサンドイッチなどのオリジナル商品には合成着色料、合成甘味料、保存料を使用していないのですが、そのことをこれまでは全く言っていないので、誰にも知られていない。
これを継続的に打ち出していくことで知ってもらう、というのもやりたいことのひとつです。

あと、コンビニは定価販売という固定概念がありますが、ファミリーマートは常時何かしらの割引を行っていますし、ファミペイを使えばお得なクーポンなどが頻繁に送られてきます。まさに「たのしいおトク」であることもしっかり伝えていきたいと思っています。

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差別化のポイントはパーセプション

五十嵐:世の中のサービスや商品は、今とても差別化が難しいと感じています。
足立さんはどのように消費者真理を捉えているのでしょうか?

足立:AとB、まったく性能が変わらないのにAを選ぶ、Bよりも高いお金を払う、ということを皆さん日常的にやっていますよね。なので、機能的に差別化できないからモノが売れないというのは全くの嘘です。結局、人がモノを選ぶのは「どういう性能・機能か」ではなく、その商品・サービスを「どう思うか」。いわゆる「パーセプション」なんです。パーセプションがしっかりと交われば、消費者の受け止め方は変わってきます。

性能や機能で差がつく時代は30年くらい前に終わっています。その前提の上で「どのように思われたいか」をしっかりと構築して差別化していくのがマーケティングです。

あと「新商品がないから売れない」も全くの間違いですね。いろいろなマーケターの方が「良い新商品が出せないからウチはダメなんですよ」と言うけれど、日清食品さんのように定番品のマーケティングが圧倒的に強い会社もありますよね。定番品でも消費者に響くニュースを自分たちで新しく作ればいいんですよ。

五十嵐:今回はマーケターにとってこれからに希望が持てる話が盛りだくさんの回でした。本日は、ありがとうございました。

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株式会社ファミリーマート エグゼクティブ・ディレクター、 チーフ・マーケティング・オフィサー(CMO)
P&Gジャパン株式会社、 シュワルツコフ ヘンケル株式会社社長・会長、 株式会社ワールド執行役員、 日本マクドナルド株式会社上級執行役員・マーケティング本部長、 株式会社ナイアンティック シニアディレクター プロダクトマーケティング(APAC)等を経て、 2020年10月より現職。同社初のCMOとして、2021年を通して行われる創立40周年企画の陣頭を執る。株式会社I-neの社外取締役、M-Force株式会社のパートナー、スマートニュース株式会社や生活協同組合コープさっぽろ等のマーケティング・アドバイザーも兼任。

著書に『圧倒的な成果を生み出す「劇薬」の仕事術』、『「300億円」赤字だったマックを六本木のバーの店長がV字回復させた秘密』。
共著に、『世界的優良企業の実例に学ぶ「あなたの知らない」マーケティング大原則』『アフターコロナのマーケティング戦略 最重要ポイント40』。 訳書に『P&Gウェイ』『マーケティング・ゲーム』など。
オンラインサロン「無双塾」主宰。

TRUE MARKETING編集部
ライター:TRUE MARKETING編集部
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