Z世代の生態・意識調査 <第3回 高校生・大学生のAI活用状況>
スマートフォンと同様に、AIが日常の一部になりつつある今、若い世代はAIをどのように使い、何を感じているのか。GMO NIKKOのオウンドメディア「TRUE MARKETING」では、高校生・大学生を対象にしたインターネット調査(有効回収数500サンプル:高校生178名、大学生322名)を実施し、AIの利用実態から学習・キャリア意識への影響まで、4つの属性(高校生男女・大学生男女)に分けて分析しました。
調査から浮かび上がってきたのは、「Z世代」の中でも、性別・学年によって鮮明な差異が存在するという実態です。AIをめぐる意識の分断は、マーケターが今後のコミュニケーション戦略を考えるうえでも見逃すことのできない視点となっています。
この記事のポイント
・高校生・大学生ともに「習慣的なAI利用率」は女性が男性を約10ポイント上回る。
・課題、試験勉強など学習へのAI活用は高校生男性で特に高い。悩み相談利用は高校生女性が突出。
・AI利用への「後ろめたさ」は大学生で高く、大学生女性では6割を超える。
・AIに代替されないスキルとして、4層全員が「コミュニケーション力」を最重視。
・キャリア選択へのAI影響は限定的。
【目次】{表示}
1. AIの利用状況——使い方に現れる性別・学年の差
1-1. 習慣的利用率は「女性高め」の傾向
「ほぼ毎日」または「週に数回」AIツールを使っている層(習慣的利用率)を4属性で比較すると、高校生女性60.6%、大学生女性60.3%と女性が男性を約10ポイント上回っています(高校生男性47.6%、大学生男性51.8%)。

1-2. 高校生男性は「学習ツール」、高校生女性は「相談相手」として使う
月に数回以上AIを使う人に利用場面を聴くと(複数回答)、「学校の課題・レポートの作成」では高校生男性71.7%がトップ。「試験勉強・暗記のサポート」も高校生男性62.3%と際立って高い数値です。一方、「友人関係・恋愛の悩み相談」に使っている割合は、高校生女性45.7%と突出して高く、高校生男性15.1%の約3倍にのぼります。
AIを「学習の効率化手段」として捉える男性的な使い方と、「感情や人間関係の相談相手」として使う女性的な使い方——同じ高校生でもこれほど目的が異なることは、マーケティング施策を検討するうえで重要な示唆を含んでいます。

1-3. 大学生は「情報収集」から「自己PR」へと用途が広がる
大学生では「就活・自己PR文や履歴書の作成」の利用が高校生より約10ポイント高く(大学生男性27.2%、女性20.4%)、進路と接続したAI活用が進んでいることがわかります。また、「商品購入の検討・比較」(大学生男性23.7%)や「旅行情報の検討・比較」(大学生男性14.9%)など、生活シーンでの実用活用も広がっています。

2. AI利用と学習意識の変化——前向きな変化と依存の兆候
2-1. 課題でAIを使うことへの後ろめたさ——大学生の方が罪悪感強め
学習・課題でAIを使っている人に「使うときの気持ち」を聴いたところ、「後ろめたさを感じている」(「少し後ろめたい」〜「本当はよくないと思っている」の合計)割合は、大学生で高い傾向にあります。大学生女性60.3%、大学生男性58.1%に対し、高校生男性45.7%、高校生女性44.0%という結果でした。
大学生の方が後ろめたさを感じやすい背景には、「評価される立場」としての意識の高まりや、レポート・卒業論文での使用に対する倫理的な葛藤があると考えられます。高校生は比較的ライトに使っている一方、大学生は使いながらも内心で揺れている実態が見えます。

2-2. AI利用を「隠す」実態——特に先生への隠蔽が多い
「AI利用を意図的に隠したことがある」という設問では、学習AI利用者の約4〜5割が「隠したり黙っていたりしたことがある」と回答しています。隠す相手として最も多いのは「先生・学校」(全体36%)であり、次いで「親・保護者」(全体14%)です。高校生女性は「先生」への隠蔽率が46.0%と特に高く、ルールへの意識と行動の乖離が見られます。
「隠す理由」としては「自分への評価が下がりそうだから」(全体46.8%)がトップであり、評価への不安がAIの使用を後ろ向きな行動として内面化させている可能性が示唆されます。
2-3. 学習意欲はどう変わったか——高校生男性が最も前向き
AIを使い始めてから学習意欲は変わったか(月に数回以上使用者ベース)という設問では、「積極的に学ぼうという気持ちになった」が最も多かったのは高校生男性35.8%。一方、「AIに任せればいいかと思うことが増えた」(依存傾向)が最も高いのは高校生女性22.9%と大学生男性21.9%でした。
注目したいのは、大学生男性の「積極的に学ぼう」が21.1%と最も低く、かつ「依存傾向」が21.9%と高いことです。AIに慣れ親しんでいる大学生男性において、AIへの過度な依存が学習意欲を下げている可能性が示唆されます。

3. AI時代の能力開発・キャリア意識——Z世代の危機感と期待
3-1. 磨くべきスキルのトップは「コミュニケーション力」——4層共通の答え
「AIに代わられないと考えて意識的に磨こうとしているスキル」(複数回答)では、4層全員が「人とのコミュニケーション力」を筆頭に挙げました(高校生男性47.2%、高校生女性47.1%、大学生女性44.4%、大学生男性36.0%)。2位以下には「独自のアイデア・創造力」(全層30〜37%)が入り、AIへの代替不可領域として「感情と創造」が意識されていることがわかります。
一方、大学生男性のみ「特に意識していない」が29.8%と他の3層より高く、AI時代のスキル戦略に対して漠然としている層が相対的に多い点は要注目です。

3-2. キャリア選択へのAI影響——「あまり考慮していない」が最多
将来の職業・進路選択にAIの普及はどう影響しているかという設問では、全4層において最も高い回答が「AIのことはあまり考慮していない」(33〜38%)でした。「AIをうまく活用できる職種を選ぼうとしている」は全体15.4%にとどまり、「AIに代わられにくい職種を意識」は全体24.4%です。
特徴的なのは高校生女性で、「AIに代わられにくい職種を意識」が28.7%と4層中最高。一方、高校生男性は「AIのことはあまり考慮していない」が38.1%と最も高い数値を示しました。AI時代のキャリア危機感において、高校生における男女間の意識差が浮き彫りになっています。

4. まとめ
今回の調査から、「Z世代のAI利用」を一括りで語ることの危うさが明確になりました。学年・性別という切り口だけで、利用目的、感情、スキル意識、キャリア観がこれほど異なることは、ペルソナ設計やコンテンツ戦略に直接影響します。
以下に、デジタルマーケターが押さえておきたいポイントを整理します。
・【高校生男性】学習の効率化ニーズが高く、「成果を出すためのAI活用法」「勉強に役立つツール紹介」などの実用コンテンツとの親和性が高い。
・【高校生女性】感情・人間関係の相談相手としてのAI活用ニーズが強く、AI利用後の「依存」リスクも相対的に高い。
・【大学生男性】AI習慣化が進む一方で学習意欲低下リスクを抱えるグループ。就活・キャリアとAIを結びつけたコンテンツや「AIを使いこなす人材」像の提示が響きやすい。
・【大学生女性】後ろめたさを感じながらも利用し続けている層が多く、倫理的・透明なAI活用ガイドラインへの需要が潜在的に高い。
AIが「あって当然」のインフラとなっていく中で、Z世代との接点を持つブランドやサービスには、属性を踏まえたコミュニケーション設計がより一層求められます。本調査が、そのための一助となれば幸いです。
調査概要
調査方法:インターネット調査
調査対象:高校生・大学生(男女)
有効回収数:500サンプル(高校生178名、大学生322名)
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- ライター:神津 洋幸(こうづ ひろゆき)
- TRUE MARKETING編集長
Z世代トレンドラボ主任研究員
ストラテジックプランナー、リサーチャーとしてWebプロモーションの戦略立案、各種リサーチなどを担当。
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