Z世代トレンドラボ

Z世代消費インサイトweekly調査 <特別版 夏旅行に関する大学生・20代社会人の意識調査>

2026.06.09Gen Z Lab
Z世代消費インサイトweekly調査 <特別版 夏旅行に関する大学生・20代社会人の意識調査>

「海外に行きたいけど、行けない」——Z世代の夏旅行に見る、リアルな経済感覚。

円安・物価高・世界情勢への不安が重なる2026年の夏。Z世代の旅行意識は今、大きな転換点を迎えています。

GMO NIKKOの「Z世代トレンドラボ byGMO」が実施した調査では、国内旅行のみを予定しているZ世代のうち実に53.7%が「本来は海外旅行も検討していたが、やむを得ず国内にシフトした」と回答。いわば"消極的な国内回帰"が起きていることが明らかになりました。

一方で旅行計画へのAI活用は急速に拡大し、大学生の75%がAIツールを使って旅を設計する「AIネイティブ」な旅行スタイルも鮮明になっています。

大学生と社会人それぞれが夏旅行にどのような価値観と行動を持っているのか——デジタルマーケターが見逃せないインサイトを詳しく読み解きます。

この記事のポイント

・今夏の旅行予定者は全体の48.2%。大学生は70.0%と社会人(44.0%)を大きく上回る
・海外旅行先は韓国・台湾が圧倒的2強。コスパ重視のZ世代に支持される近隣アジア圏
・国内旅行のみ検討者の53.7%が「消極的国内シフト」——円安・物価高・世界情勢が三重苦
・旅行計画へのAI活用率は全体62.2%、大学生では75.0%に達する「AIネイティブ」世代
・使用AIツールはChatGPTが最多(32.0%)、次いでGemini(24.9%)

【目次】{表示}


1. 今夏の旅行予定——大学生7割が旅行を計画



今年の夏(7〜9月)に宿泊を伴う旅行を計画しているZ世代は全体の48.2%。旅行先の内訳は「国内のみ」29.8%、「海外のみ」11.0%、「海外・国内両方」7.4%でした。

大学生と社会人で際立つ格差

特に注目すべきは大学生と社会人の差です。旅行予定者の割合は大学生70.0%に対し社会人は44.0%と26ポイントもの開きがあります。大学生ならではの長期休暇の取りやすさや夏休みへの期待が、旅行意向の高さに直結しています。

海外旅行の格差はさらに大きい

「海外旅行(海外のみ+海外・国内両方)」の割合を比べると、大学生38.8%に対し社会人は14.5%と約2.7倍の差。「国内のみ」は大学生(31.2%)・社会人(29.8%)でほぼ同水準のため、この差はほぼすべて海外旅行の有無から生まれています。

長期休暇が確保しやすい学生層の方が、時間とコストを要する「海外旅行」という選択肢に踏み込みやすい実態が鮮明です。夏季休暇の期間・タイミングが個人によって異なる社会人では、旅行機会そのものが限られることが背景にあります。


2. 旅行先の傾向——韓国・台湾2強と「消極的国内回帰」

海外旅行先:韓国・台湾が圧倒的2強



海外旅行先では韓国(39.1%)と台湾(35.9%)が他国を大きく引き離す2強状態です。3位以下は中国(17.4%)、香港(15.2%)、アメリカ本土(10.0%)と続き、上位を近隣アジア圏が占めました。

円安環境下でも費用を抑えやすく、フライト時間が短いアジア圏が、コストパフォーマンスを重視するZ世代の現実的な旅先として選ばれています。K-POPや台湾グルメといったカルチャー的親和性の高さも後押ししているとみられます。

国内旅行先:北海道が首位、定番観光地が上位

国内旅行先では北海道(18.8%)が首位。2位東京都(12.9%)、3位大阪府(11.8%)、4位は京都府・宮城県(いずれも11.3%)が続きました。夏のアクティビティや食の豊かさを背景に北海道が選ばれており、定番の都市圏観光地との差も明確です。


3. 旅行計画へのAI活用——大学生の4人に3人がAIを使用



旅行を予定しているZ世代のうち、旅行計画にAIツールを活用する予定があると回答したのは全体の62.2%。内訳は大学生75.0%、社会人58.4%で、大学生では実に4人に3人がAIを活用するという結果になりました。

使用ツールはChatGPTが最多、Geminiが続く

利用AIツールはChatGPT(OpenAI)が32.0%で最多、次いでGemini(Google)24.9%、旅行サイト内蔵AIアシスタント(じゃらん・楽天トラベル等)10.8%、Copilot 10.4%と続きます。

情報収集から旅程の組み立てまでをAIに頼ることを当たり前とするZ世代の「AIネイティブ」としての特徴が、旅行計画の場面でも如実に表れています。

旅行計画の「DIY化」が加速

AIツールを使いこなすことで、Z世代は旅行会社やガイドブックに頼らず、自分好みの旅程を自ら設計する「旅のDIY化」を実践しています。検索エンジンではなくAIに直接質問し、最適な旅先・宿・アクティビティを提案してもらうスタイルが定着しつつある今、旅行業界にとって「AI検索やAIツール経由でも発見・選択されるコンテンツ設計」が不可欠になっています。


4. 国内旅行を選んだ理由——「消極的国内回帰」の実態



国内旅行のみを予定している回答者のうち「もともと国内のつもりだった」は46.3%にとどまり、残る53.7%が海外旅行ニーズから国内旅行へとシフトしていました。「積極的な国内選択」ではなく、外部要因に押し出された「消極的国内回帰」が過半数を占めているのです。

シフトの主な理由は「円安・物価高の影響」(19.5%)、「世界情勢(戦争・テロ・感染症リスクなど)への不安」(18.8%)、「航空券・ホテルが高すぎる」(17.4%)と続き、コスト面と安全面の両方が国内シフトを後押ししています。

大学生は「世界情勢への不安」が社会人の2倍超

属性別で顕著な差が出たのが「世界情勢への不安」という理由です。大学生では36.0%が挙げたのに対し、社会人では15.3%と大学生が約2.4倍の水準を示しました。

一方、社会人は「もともと国内のつもり」(50.0%)が多数派。もともと国内指向が強い社会人に対し、大学生は本来海外を志向していたが外部要因に阻まれているという構造的な違いが浮かびます。Z世代は社会や経済の変化にリアルタイムで敏感に反応し行動を柔軟に変える特性を持っており、その感度の高さが旅行先選びにも色濃く表れています。


5. まとめ:マーケターへのインサイト



今回の調査から、Z世代の夏旅行には「外部環境に敏感に反応する柔軟性」と「AIを当然のように使いこなす先進性」という二つの特徴が鮮明に浮かび上がりました。

① 国内旅行の高付加価値化が急務——「消極的シフト層」を積極派に転換

国内旅行のみ検討者の過半数が、本来は海外を希望していた層です。「国内だから妥協」ではなく「国内でも海外旅行に匹敵する特別な体験ができる」という価値提案が、Z世代需要の取り込みに直結します。体験価値・コストパフォーマンス・独自性を打ち出した国内旅行商品の訴求に注力する好機です。

② 旅行マーケティングはAI経由での接触設計が不可欠に

大学生の75%がAIを使って旅行を計画する今、旅行ブランドがAI検索・AIアシスタントの回答に登場できるかどうかが認知・選択の分岐点になります。SEOに加えて「AIO(AI最適化)」の視点でコンテンツを設計し、AIが参照しやすい情報の構造化と信頼性向上に取り組むことが競争優位につながります。

③ 韓国・台湾への旅行関連サービスにはZ世代の高い需要がある

海外旅行先ではコスパ重視の近隣アジア(韓国・台湾)が圧倒的2強です。これら国・地域への旅行商品や関連サービスを扱うブランドにとって、Z世代の旅行意向の高さはビジネス機会です。TikTok・Instagramリール等を活用したビジュアル訴求と、SNSでの口コミ喚起を組み合わせたアプローチが有効です。

④ 大学生と社会人ではメッセージを分離する

大学生は「長期休暇×高い旅行意欲」を持ちながら、外部要因(円安・物価高・安全不安)に阻まれている層です。「この価格でこれだけの体験ができる」というコスパ訴求が刺さります。社会人は旅行機会そのものが限られるため、短期間・効率的に質の高い体験ができることを訴求するアプローチが効果的です。


調査概要

調査テーマ 「Z世代の2026年夏休み旅行」に関する調査
調査期間 2026年4月20日(月)〜2026年4月22日(水)
調査主体 「Z世代トレンドラボ byGMO」(GMO NIKKO株式会社)
調査地域 日本国内
調査対象 18〜28歳の大学生および社会人
有効回答数 500名(大学生80名、社会人420名)
調査方法 インターネット調査

Z世代トレンドラボのそのほかの記事についてはこちらをご覧ください。
Z世代トレンドラボ完全ガイド

神津 洋幸(こうづ ひろゆき)
ライター:神津 洋幸(こうづ ひろゆき)
TRUE MARKETING編集長
Z世代トレンドラボ主任研究員
AI検索ラボ編集員

ストラテジックプランナー、リサーチャーとしてWebプロモーションの戦略立案、各種リサーチなどを担当。
X(twitter)

    シェア

  • X
  • facebook