Z世代消費インサイトWeekly調査 <第15回 制汗アイテム編> Z世代のニオイ対策は「最低限のマナー」から「自分らしさ」へ
真夏の通勤電車、ライブ会場、教室内……。高温多湿な日本の夏において、汗とニオイは誰もが直面するリアルな課題です。
今回の「Z世代消費インサイトWeekly調査」第15回は、高校生・大学生・社会人のZ世代500名を対象に、制汗剤や汗拭きシートなどの制汗アイテムにまつわる実態と意識を深掘りしました。自分のニオイへの不安、他人のニオイへの対処法、アイテム選びのきっかけから、ニオイ対策が「コミュニケーションツール」になっている実態まで——デジタルマーケターが見逃せないZ世代のリアルな消費インサイトをお届けします。
・どの層も約7〜9割が夏場の自分の汗・ニオイを「気になる」と回答。女子・女性ほど意識が高い傾向
・「気になるシーン」は電車・バスと教室・オフィスが2大トップ。大学生女子は推し活・ライブ・フェス会場も上位にランクイン
・他人のニオイが気になっても「本人には言えず、我慢するか距離を置く」が多数。"サイレントスメハラ"が広がる可能性
・対策しない人には、どの層も6〜7割が「恋愛対象から外す」。高校生男子の約6割は「友人として距離を置く」ことを否定
・対策アイテムの2大主役は汗拭きシートと制汗スプレー。大学生女子はボディミスト、高校生・大学生女子はハンディファンも重要
・制汗剤・汗拭きシートの「貸し借り」は高校生・大学生で過半数が経験。コミュニケーションツール化している
・ニオイ対策の位置づけはZ世代共通で「当たり前のマナー」。高校生女子・社会人女性は「自分の自信・メンタルを保つもの」という意識も強い
【目次】クリックして開く
1. 調査概要
2. 夏場の汗・ニオイへの意識——どの層も「気になる」が多数派
3. 気になるシーン——推し活会場が女子の特徴的スポットに
4. 他人のニオイへの対応——言えずに"そっと距離を置く"が現実
5. 対策しない人への感情——恋愛・友情に影響するニオイ問題
6. 使用アイテムとケア頻度——女子はアイテム多彩、男子は頻度低め
7. 知ったきっかけ・購入決め手——店頭接触が強く、SNS動画も影響
8. 貸し借り文化——制汗グッズはコミュニケーションツール?
9. ニオイ対策の位置づけ——「当たり前のマナー」+女性は「自信を保つもの」
10. まとめ——マーケターへの示唆
1. 調査概要
本調査はZ世代(高校生・大学生・社会人)を対象に、夏場の汗・ニオイ対策に関する実態と意識を定量的に把握することを目的として実施しました。
| 調査対象 | Z世代(18〜28歳)の高校生・大学生・社会人 |
| 回答者数 | 500名(高校生161名、大学生136名、社会人203名) |
| 調査方法 | インターネット調査 |
| 調査時期 | 2025年 |
| テーマ | 制汗アイテム(制汗剤・汗拭きシートなど)に関する実態・意識調査 |
2. 夏場の汗・ニオイへの意識——どの層も「気になる」が多数派
「夏場に自分の汗やニオイが気になりますか?」という問いに対し、Z世代全体では75.8%が「気になる」と回答しました。層別に見ると、女子・女性の方が男子・男性より意識が高い傾向が顕著で、高校生女子(87.2%)・大学生女子(84.6%)が特に高い数値を示しました。一方で、男子・男性も6〜7割は「気になる」と回答しており、ニオイ対策の必要性はZ世代全体で共通認識となっています。

【ポイント】女子・女性の意識が男子・男性を約15〜18%ポイント上回ります。特に高校生女子の87.2%という数値は、思春期特有の自己意識の高さを反映していると考えられます。また社会人になると男女差が縮まり、社会人男性でも70.2%が気になると回答している点は、ビジネスシーンにおけるニオイへの意識の高まりを示しています。
3. 気になるシーン——推し活会場が女子の特徴的スポットに
汗・ニオイが気になるシーンを複数回答で聞いたところ、「通勤通学の電車・バス」(高校生54.0%、大学生56.6%)と「教室・オフィス内」(高校生41.0%、大学生50.0%)が2大シーンとして浮かび上がりました。社会人では「初対面の人と会うとき」(32.0%)も上位に入り、キャリアシーンならではの意識が見られます。

特徴的な差異として注目したいのが「推し活・ライブ・フェスなどのイベント会場」です。大学生女子は29.2%が選択しており、他の層と比べて際立っています。推し活がZ世代の中核ライフスタイルとなっている今、ニオイ対策は推し活の「必需品」になりつつあります。

【インサイト】大学生女子にとって、推し活・ライブ会場はニオイ対策の重要シーン
「好きなアーティストの前では万全の状態でいたい」「ライブで密になるから気になる」という心理が、アイテム選びや使用頻度に直結している可能性があります。
4. 他人のニオイへの対応——言えずに"そっと距離を置く"が現実
他人の汗・ニオイが気になったとき、どう行動したかを聞くと、全体の最多回答は「気になったが本人には言えなかった」(全体33.6%)でした。次いで「我慢して何もしなかった」(21.6%)、「さりげなく距離を取った」(19.0%)が続きます。

層別で見ると、高校生計では「本人には言えなかった」が41.0%とZ世代で最も高く、特に高校生男子(45.3%)が突出しています。
大学生では「さりげなく距離を取った」が28.7%と他の層に比べて高くなっています。大学の教室・講義室という密閉空間ならではの行動パターンといえます。
【インサイト】"サイレントスメハラ"の広がり
他人のニオイが気になっても本人には指摘できない——この構図が「サイレントスメハラ」を生みます。当事者は気づかないまま、周囲との関係が静かに損なわれていきます。
「本人が気づくための啓発」という切り口のコンテンツや、相手に気づかせる間接的なギフト提案(制汗グッズのプレゼント)は、マーケティングの文脈でも成立し得る訴求軸です。
5. 対策しない人への感情——恋愛・友情に影響するニオイ問題
「対策すべきなのに汗・ニオイ対策をしていない人」への気持ちを聞いたところ、「恋愛対象から外す(計)」はどの層も6〜7割に達しました。大学生(72.8%)が最も高く、次いで高校生(69.6%)、社会人(62.1%)の順です。

注目すべきは「友人として距離を置きたくなる(計)」の男女差です。高校生女子(61.6%)・大学生女子(70.8%)・大学生男子(66.2%)と多くの層で過半数を超える中、高校生男子は41.3%にとどまり、約6割が「そうは思わない」と回答しました。ニオイがあっても男同士の友情は揺るがない、というZ世代高校生男子の独特のメンタリティが垣間見えます。
【インサイト】恋愛・友情リスクを訴求軸に
ニオイ対策を怠ると「恋愛対象外・友人に距離を置かれる」という強いペナルティ意識が広く存在します。
特に大学生向けの広告では「恋愛・友情」を絡めてインサイトを刺激する訴求も有効と考えられます。
6. 使用アイテムとケア頻度——女子はアイテム多彩、男子は頻度低め
現在使用している(この夏使用予定の)汗・ニオイ対策アイテムを複数回答で尋ねると、全体の1位が汗拭きシート(43.8%)、2位が制汗スプレー(31.4%)と、この2アイテムが突出しました。

特徴的なのは大学生女子のボディミスト(20.0%)とハンディファン(38.5%)の高さです。高校生女子もハンディファン26.7%と高く、機能だけでなく「香り」「見た目」「外出先での使いやすさ」を重視した多彩な組み合わせが見られます。
ケア頻度については、大学生が「1日に複数回」実施する割合(44.9%)が最も高く、授業の合間・部活後・バイト前など生活リズムの多様さが頻度を高めていると考えられます。一方、高校生男子の46.7%が「ほとんどしない」と回答しており、ケア意識の低さが際立ちます。
7. 知ったきっかけ・購入決め手——店頭接触が強く、SNS動画も影響
制汗アイテムを「知ったきっかけ」の1位は、全層共通で「店頭で見かけて」(高校生16.8%、大学生28.7%、社会人26.1%)でした。家族や友人の口コミも各層で10〜17%程度存在しており、日用品カテゴリならではのリアルな接点の強さが示されました。
デジタル系のきっかけとして特徴的なのは、大学生におけるSNSショート動画(TikTok・リール・YouTubeショート)の16.9%です。大学生男子11.3%に対し、大学生女子は23.1%と女子の方が影響を受けやすい傾向があります。
「購入の決め手」でも「店頭で見て・実際に試して」が全層トップ(高校生11.8%、大学生23.5%、社会人24.1%)。制汗アイテムは実際に試香・試用できる店頭体験が購買に強く影響することがわかります。大学生では加えて「SNSのショート動画」(20.6%)や「SNSの友人・ユーザーの投稿」(19.1%)も上位に入り、リアル×デジタルの組み合わせが重要です。
【インサイト】Z世代の制汗アイテム:発見はSNS・購買は店頭
「SNSで知って店頭で決める」という消費行動パターンが大学生で顕著です。短尺動画によるインフルエンサー施策で認知・興味を醸成し、店頭での行動につなげるOMOアプローチが有効です。
8. 貸し借り文化——制汗グッズはコミュニケーションツール?
学校や職場で制汗剤や汗拭きシートを友人・同僚と「貸し借りしたことがある」と回答した割合は、Z世代全体で51.4%と過半数を超えました。

層別に見ると、大学生が最も貸し借り経験率が高く(66.2%)、特に大学生女子は70.8%と約7割が経験しています。高校生も57.1%と過半数を超え、特に高校生女子(61.6%)が高くなっています。一方社会人は36.9%にとどまり、職場というフォーマルな環境では貸し借りが起きにくいことがわかります。
【インサイト】高校生・大学生において制汗グッズは"シェアするもの"として日常に溶け込んでいます
個包装・携帯しやすいサイズの汗拭きシートや、シェアしやすいパッケージデザインは、Z世代女子のコミュニティ内で自然な口コミを生みやすいです。「友達にあげたくなる」「一緒に使いたくなる」という視点での商品設計・パッケージ訴求に機会の可能性もあります。
9. ニオイ対策の位置づけ——「当たり前のマナー」+女性は「自信を保つもの」
「汗・ニオイ対策は自分にとってどのような存在か」を複数回答で尋ねると、最多回答は全層共通で「身だしなみの一部として当たり前にやるもの」(大学生47.1%、社会人45.3%)と「最低限のマナー・エチケットとして仕方なくやるもの」(高校生42.2%、大学生42.6%)の2項目に集約されました。

男女別で際立つのが「自分の自信やメンタルを保つためのもの」への回答差です。高校生女子(44.2%)・社会人女性(38.4%)が特に高く、男子・男性(高校生男子32.0%、社会人男性29.8%)を大きく上回ります。女性にとって制汗アイテムは、他者に向けたマナーであるだけでなく、自分自身のメンタルを整える「内面ケア」という役割も担っています。
【インサイト】女性向けは「内面ケア」訴求が有効
ニオイ対策を「マナー(他人のため)」だけでなく「自分の自信・気分を上げるもの(自分のため)」と位置づける女性Z世代の意識は、香り設計・パッケージの感性訴求・「使うと気持ちが上がる」というベネフィット訴求が刺さる市場であることを示しています。
10. まとめ
今回の調査から浮かび上がったZ世代の制汗アイテムに関するインサイトを整理します。
① ニオイ対策は「全員課題」——ただし層×性別で温度差あり
Z世代の約7〜9割が汗・ニオイを気にしており、対策ニーズは全層に存在します。ただし女子・女性の方が意識が高く、使用アイテムの多様性・ケア頻度ともに高い傾向があります。男子・男性には「対策の必要性を自覚させる」啓発的アプローチが有効かもしれません。
② 大学生女子×推し活——見逃せない成長セグメント
ライブ・フェス会場でのニオイ対策意識が高い大学生女子は、推し活シーンとアイテム選びが直結しています。ライブ前後・フェス向けの限定訴求や、ファンコミュニティとの連携マーケティングに大きな機会があります。
③ "サイレントスメハラ"——ブランドが提供できる社会的価値
他人のニオイに困っても言えない——この状況は個人のストレスに留まらず、人間関係を静かに損なう「サイレントスメハラ」を生みます。ブランドとして「気づき」や「さりげないギフト」としての制汗グッズ訴求は、社会課題解決型のパーパスマーケティングにも応用できます。
④ 認知はSNS動画・購買は店頭——OMO設計が鍵
大学生を中心にTikTok・リールなどのショート動画で認知し、ドラッグストア店頭で試用・購買するという流れが定着しつつあります。デジタルで興味を喚起し、店頭体験で背中を押すOMO(Online Merges with Offline)設計が制汗アイテムブランドにとって必須戦略です。
⑤ 「貸し借りできる」商品設計——コミュニティ内口コミを促進
高校生・大学生の過半数が制汗グッズを貸し借りしている実態は、商品設計へのヒントを与えてくれます。個包装・シェアしやすいパッケージ・まとめ買い訴求など、「友達と一緒に使う」シーンを想定したプロダクトマーケティングが有効です。
⑥ 女性向けは「自信・メンタルケア」訴求——機能を超えた感性価値へ
高校生女子・社会人女性は制汗アイテムを「自分の自信とメンタルを保つもの」と捉えています。機能訴求(汗・ニオイを防ぐ)だけでなく、「使った瞬間から気分が上がる」「今日も大丈夫、という安心感」といった内面に訴える情緒的ベネフィットの訴求が、Z世代女性を動かすコミュニケーションの核になります。
本調査レポートは「Z世代トレンドラボ by GMO」が定期発行する消費インサイトシリーズです。デジタルマーケターのみなさまのプロモーション戦略・商品企画にお役立てください。
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- ライター:神津 洋幸(こうづ ひろゆき)
- TRUE MARKETING編集長
Z世代トレンドラボ主任研究員
AI検索ラボ編集員
ストラテジックプランナー、リサーチャーとしてWebプロモーションの戦略立案、各種リサーチなどを担当。
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