Metaverse

続々とはじまるメタバースを使った地方創生|行政の活用事例を紹介

続々とはじまるメタバースを使った地方創生|行政の活用事例を紹介

メタバースとは「仮想空間」をさし、アバターを使用して現実に近い世界で活動できます。
メタバースはゲームやライブ配信などの娯楽で活用が進んできましたが、昨今では娯楽以外の場面でも活用されています。
その1つが地方創生におけるメタバースの活用です。

この記事では、メタバースを活用した地方創生に取り組む行政の事例をご紹介します。

行政がメタバースを活用する主な目的

多くの地方では、人口の減少や少子高齢化が問題視されており、地方創生が課題に挙げられています。

メタバースでは現実と同じように時間が流れ、アバターを使用して現実と同じように人と交流したり遊んだり、仕事をしたりすることも可能です。
また、メタバースには、住んでいる地域に関係なくアクセスが可能です。

行政はこれらの利点を生かし、どこからでもその地域の魅力が体験できる取り組みを実施して、経済力の向上や移住者の増加などを目的にメタバースを活用しています。

内閣府がメタバース分科会を設置

内閣府は、地方創生やSDGsへの取り組みにおけるメタバースの活用を促進する、メタバース分科会を設置しました。

メタバースの活用事例を用いた勉強会やセミナーの開催を通し、メタバースに関する知識・情報の共有や新たな活用事例創出の促進を目指したものがメタバース分科会です。

内閣府がメタバースの活用を推進しており、地方創生にメタバースを活用する行政の増加が期待されているといえます。

メタバースが地方創生にもたらすメリット

メタバースを地方創生に活用することには、以下のようなメリットがあります。

  • 観光地の魅力を発信できる
  • プラットフォーム内で紹介と販売の双方が可能
  • リモートワークや診療の空間として活用可能
  • 雇用や関係人口の増加に役立つ
  • 建造物や特産品、文化財のデータを残せる
  • 対面会話に近いコミュニケーションが図れる

ここでは、それぞれのメリットについて詳しく解説します。

観光地の魅力が発信可能

メタバースを活用することで、観光地としての魅力を発信できます。

メタバース内では観光地を再現できます。メタバースを利用しているユーザーがメタバース内の観光地を訪れてくれれば、観光地に魅力を感じたり、興味を持ってくれて実際に足を運んでもらえる可能性があります。

メタバースで地域創生をすることで、実際に観光地に来てもらいやすくなるでしょう。

プラットフォーム内で紹介と販売の双方が可能

メタバースのプラットフォーム内で、特産品の紹介と販売が同時にできます。

プラットフォームを活用すれば、従来のECサイトのような画像と文章だけではなく、背景・ストーリー・製作時の工夫などを対話によって伝えられます。

説明するだけではなく、気に入ってもらえたらその場で購入し、実際に商品を自宅に送るというサービスも実現可能です。これにより、あたかも現地に行って観光しながら買い物しているような気分を提供できます。

リモートワーク・診療の空間として活用可能

メタバースは、リモートワークや診療の空間としても活用できます。

近年は、新型コロナウイルスの影響によってリモートワークを導入する企業が増えました。

従業員も感染予防のためにリモートワークで働きたいと考える人が増えています。

また、健康状態について相談する空間としてもメタバースが利用できることで、交通手段がない高齢者でも気軽に医療を受けやすくなります。

リモートワークや診療の空間としてメタバースが発達することは、仕事や医療を求めて都会へ出ていくような人口流出を防ぐことにもつながるでしょう。

雇用や関係人口の増加に役立つ

メタバースは雇用や関係人口の増加に役立つというメリットがあります。関係人口とは、その地域に住んでいる人や観光を目的に訪れた人ではなく、地域と多様に関わる人々のことです。

関係人口の増加については、2014年にデジタル先進国である小国エストニアが、仮想住民制度を創設したことで世界中から約9万人の関係人口の創出に成功しています。

メタバースが仮想住民制度の仕組みを実現できることから、デジタル仮想住民の創出と日本の地方経済に寄与する関係人口の増加が期待されています。

建造物や特産品、文化財のデータを残せる

メタバースには、建造物・特産品・文化財などのデータを残せます。近年、地方の文化財の管理者や継承者の不足が問題視されています。そこで、メタバースが文化財保存のアーカイブツールとしての役割を期待されているのです。

建造物・特産品・文化財などのデータをアーカイブとして残しておくことで、培ってきた製造ノウハウや保存方法を後世に伝えられます。

対面会話に近いコミュニケーションを図れる

メタバースでは、対面会話に近いコミュニケーションを図れます。自分の分身となるアバターを操作して自由にメタバース内を動き、世界中の人とコミュニケーションが取れるのです。

メタバースはオンラインでのやり取りでありながら、対面会話に近いコミュニケーションが取れるため、ECストアでの接客や観光業でのガイドなどにも活用できます。

メタバースを使った地方創生事例

メタバース上で再現された日本の観光地

いくつかの地域では、地方創生にメタバースを活用した取り組みが既に実施されています。
ここでは、メタバースを使った地方創生の取り組み事例を6つご紹介します。

養父市(兵庫)「バーチャルやぶ」

兵庫県養父市では、体験ツアーを含むさまざまなコンテンツで養父市の魅力を伝える、「バーチャルやぶ」を公開しています。

昭和27年から33年間運行されていた「一円電車」に乗車して観光地巡りができる体験ツアーや、明延鉱山の坑道跡を見学できる体験ツアーに、仮想空間で参加が可能です。
また、実在するスキー場を仮想空間に再現し、ソリゲームを楽しめる場所も設置されています。

「バーチャルやぶ」は、体験を通して養父市の魅力を知れるよう工夫されたメタバースといえます。

白浜町(和歌山)「バーチャル白浜」

和歌山県白浜町では、2021年10月に開催されたストリートアートのイベントに連動し、メタバースを取り入れた「バーチャル白浜」を開催しました。

「バーチャル白浜」は、仮想空間内で自身の作品を出品したりギャラリーを設置したりしてイベントに参加できます。

メタバースの活用によって、現地を訪れなくとも、白浜町とイベントの雰囲気を味わえるイベントが実現しました。

越前市(福井)「越前市メタバースこころの保健室」

福井県越前市では、ひきこもりの問題を抱える人やその家族の相談を受け入れる、「越前市メタバースこころの保健室」を開設しています。

「越前市メタバースこころの保健室」には、ひきこもり問題を抱える人への支援方法や相談窓口の情報が見られる空間と、個別に相談できる空間が設けられています。
個別相談は予約制で、越前市の市民は無料で利用でき、精神科医や市の保健師に相談が可能です。

精神面の問題を抱える人にとって、外出や対面での相談は抵抗を感じやすいことのひとつです。
メタバースの活用によって、外出せずに相談でき、直接顔を合わせなくても専門家に相談できる環境が実現しています。

奈良市(奈良)「NFT奈良市写真美術館」

奈良県奈良市では、メタバース上に「NFT奈良市写真美術館」を開館させました。
「NFT奈良市写真美術館」は、実在する入江泰𠮷記念奈良市写真美術館の外装・内装をもとに美術館を作り、入江泰𠮷氏の作品を展示しました。
「NFT奈良市写真美術館」の会館によって、現地に足を運べない人でも、入江泰𠮷氏の作品鑑賞が可能です。

また、3Dモデリングで作られている特性を生かした、学生向けの展覧会やワークショップの開催も予定しています。
この企画によって、建築やプログラムに関心を持つ学生に「NFT奈良市写真美術館」ならではの体験の提供を目指しています。

嬉野市(佐賀)「デジタルモール嬉野」

佐賀県嬉野市では、交流人口の増加を目指して「デジタルモール嬉野」を開設しました。

「デジタルモール嬉野」は嬉野温泉駅や駅近くの嬉野観光交流センターなどを再現し、仮想空間内の散策や、他のユーザーとチャットで会話が可能です。
また、嬉野市を題材にしたスタンプラリーや、仮想空間内に落ちているコインを集めると特典を獲得できるカプセルトイが設置されています。

嬉野市の観光地や名産品の情報を得られるほか、嬉野市内の小中学生が描いた美術作品も鑑賞でき、嬉野市の魅力を知れる空間です。

川根本町(静岡)「田舎の直送便」

静岡県榛原郡川根本町では、川根本町の特産品を購入できる販売所「田舎の直送便」を開設しています。

仮想空間内では、出品している各事業者とテキストチャットやボイスチャットで交流しながら、特産品の購入が可能です。
また、今後も新たな商品の出品を予定しているほか、仮想空間内での体験ができる企画も予定しています。

「田舎の直送便」をきっかけに、現地を訪れる人々の増加を目指しています。

萩市(山口県)「ふるさと納税キャンペーン」

山口県萩市では、「萩ブランド」を全国に展開することを目的に「ふるさと納税キャンペーン」を実施しています。

この「ふるさと納税キャンペーン」では、一部区画を用いてふるさと納税の返礼品を展示。参加者は展示物に触れることで、萩市のふるさと納税サイトに遷移する仕組みです。暗号資産を必要としないことから、暗号資産を持っていない人や知らな人でも利用しやすいという特徴があります。

木更津市(千葉県)「合同婚活イベント」

千葉県木更津市と他三市では、メタバースでの「合同婚活イベント」を実施します。参加対象となる人は木更津市など該当する市に居住か勤務している方、または移住に興味のある方で、イベントはメタバース空間内で実施されます。

参加者は、1対1での対話と全体への自己PRを行い、マッチングシートに回答。後日マッチングしたカップルがいた場合はメタバース上でデートしたり、双方の合意によりリアルでのデートに発展していく仕組みです。メタバース上での婚活イベントは、アバター姿でコミュニケーションを取ることから見た目や年収などの条件に捉われにくいというメリットがあります。

地方創生にメタバースを使う上での現状や課題点

地域創生にメタバースを使うことには多数のメリットがありますが、個人情報の管理や参加者同士の交流で起こり得る誹謗中傷の防止対策などの課題点があります。メタバースを活用するためには、徹底したセキュリティ管理や誹謗中傷対策が必要不可欠でしょう。

他にも、インフラの整備やメタバースから実際にその地方に興味を持ってもらったり、足を運んでもらうための工夫なども重要です。

まとめ

メタバースを活用した行政による地方創生の事例をご紹介しました。
メタバースでは、散策・交流・買い物などのさまざまな活動が可能です。
現地を訪れられない人にも地域の魅力を伝えられる点が、メタバースにおける最大の魅力です。

メタバースは、地方創生を実現する新しい技術のひとつといえるでしょう。

▼新着情報をいち早く知りたい方はこちらへ▼

プロフィール
GMOメタバースラボ
メタバース技術やブロックチェーン技術を活用した各種Web3サービスに関する調査・分析をするとともに、メタバースを活用したビジネスの立ち上げ・展開をサポートする各種ソリューションを提供いたします。メタバースにおけるビジネスを拡大し、企業の課題解決はもちろん、ユーザーへの新たな体験を提供することで、Web3時代の新たな文化を創成してまいります。
CONTACT US

メタバース/NFTに関することならお気軽にご相談ください

フォームからのお問い合わせ

GMOメタバースラボへのお問い合わせはこちらのフォームよりご連絡ください。

LINE公式アカウント

GMOメタバースラボ公式LINEアカウントです。メタバース・NFT情報をお届けいたします。